数億年前から!変わらない姿の「生きた化石」5選、でも今では絶滅危惧の種も…
カブトガニからイチョウまで、実はDNAは進化している
米国メイン州からメキシコ湾に至る大西洋岸の砂浜は、茶色いドーム状の甲羅に埋め尽くされている。カブトガニの産卵シーズンが始まって、潮が引いた浜に大群が卵を産みにやってきたのだ。この現象は、カブトガニが海を支配していたオルドビス紀(4億8800万~4億4300万年前)から変わっていない。 ギャラリー:数億年前から変わらない「生きた化石」 写真5点 「生きた化石」として知られるカブトガニのような生物は古代の系統の子孫であり、数億年前の祖先の化石とほとんど同じ姿をしている。 しかし、「生きた化石」という言葉は厳密ではなく、科学者や古生物学者の間でも定義にばらつきがある。彼らは、外見上は祖先と同じに見えるが、DNAは変化しており、進化のサイクルを何度も繰り返している。 生きた化石は希少であり、その系統に残された最後の種となって近縁の種が現存しないことが多い。また、深海では大量絶滅イベントを回避しやすいため、海洋環境で暮らしていることが多い。 進化の歴史をそのまま歩む種と絶滅する種があるのはなぜなのだろう? 結局のところ、答えは「偶然」なのかもしれない。
1. カブトガニ
このヘルメットのような形をした原始的な節足動物は、先史時代を象徴する三葉虫やオルソセラス(円錐形の殻を持つ奇妙な頭足類)などとともに古生代(5億4000万~2億4800万年前)の海にすみ、砂地の海底を走り回っていた。 その名に反して、カブトガニはカニなどを含む甲殻類ではなく鋏角(きょうかく)類であり、クモやサソリとの共通点の方が多い。カブトガニは何回もの大量絶滅と氷河期を切り抜け、同時代の海洋生物の多くが絶滅した時代に繁栄することができた。それは、環境条件への耐性が高いからだ。カブトガニは、海水でも淡水でも、酸素濃度の低い水中でも生き延びることができる。 現在、カブトガニたちは生物医学の研究のために血液を抜き取られている。カブトガニの真っ青な血液は非常に珍重されていて、ワクチンや試薬に使われている。