数億年前から!変わらない姿の「生きた化石」5選、でも今では絶滅危惧の種も…
4. シーラカンス
シーラカンスは深海に生息する謎の多い魚だ。体はがっしりしていて、手足のように頑丈そうな7枚のひれと、尾のまわりに3枚のひれがある。シーラカンスの化石はデボン紀前期から白亜紀後期にかけての地層から見つかっているが、その後、恐竜の大量絶滅とともにシーラカンスの化石も姿を消した。 「科学者が生きたシーラカンスを目にしたのは1930年代に南アフリカ沖で網にかかった個体を確認したときが最初でしたが、それ以前から化石は知られていました」と、無脊椎動物化石の専門家である米フィールド自然史博物館の名誉学芸員スコット・リガード氏は言う。 この発見は世界を驚かせ、今では2種のシーラカンスが生きていることが知られている。生きた化石と呼ばれるシーラカンスだが、「1990年代から分子遺伝学者が現生のシーラカンスを調べるようになると、ゲノムの一部に急速に進化していると思われる部分があることが明らかになりました」という。 とはいえ、現生のシーラカンスと祖先の化石の外見は非常によく似ている。シーラカンスは、魚が四肢動物へと進化する過程を解明するための鍵を握っているのかもしれない。
5. イチョウ
イチョウの歴史は古く、2億7000万年前のペルム紀までさかのぼる。扇状の葉をもつイチョウは、原始的なシダやソテツとともに生え、恐竜に木陰を提供し、宋の時代の詩人にインスピレーションを与え、1945年の広島では原爆投下にも耐えた。 イチョウは種子が露出した裸子植物で、イチョウ科の最後の生き残りだ。かつてイチョウはほとんどすべての大陸に分布していたが、更新世(258万年前~1万1700年前)の氷河期に気候が不安定になると、生息域は大幅に縮小し、中国の東部と中南部を除いて化石記録から姿を消した。 人間の干渉は多くの種を絶滅に追いやってきたが、イチョウについては、古代中国の人々が銀杏をとるために栽培していたおかげで絶滅を免れたと考えられている。 植物科学者ピーター・クレイン氏の論文によれば、「イチョウに関する最古の歴史的記述は、11世紀の宋代の有名な詩である」という。 人類史においても生態系の歴史においても、イチョウは常に存在してきた。イチョウは今日、世界中の街角や寺院に、静かに、決然とたたずんでいる。
文=Sruthi Gurudev/訳=三枝小夜子