なぜカブスは5年100億円の大型契約で鈴木誠也を獲得したのか…再建目指す球団ビジョンに合致
MLB公式サイトも「鈴木はこのチームのアプローチと再建に向けたタイムラインに適合する。日本プロ野球で5度のオールスター選手(の鈴木)は27歳で現時点で打撃陣に好影響を及ぼす可能性を秘め、将来上がってくる有望株の波の一部にもなる」と分析。 NBCスポーツも「彼は、今のチームの手助けとなる選手でロス監督が中軸に据えることのできるような打撃面への期待があるが、数年先には“次なる偉大なカブス”の再建の一員となるかもしれない」と評価した上で「契約は最低5年だが、もしかしたら最長で10年になるかもしれない」と予想した。 現在のカブスの外野の陣容は、レフトが27歳のスイッチヒッターのイアン・ハップで、昨季は打率.226、25本塁打、66打点の成績。長打力があるが安定性に欠く。センターは30歳のラファエル・オルテガで昨季は打率.291、11本塁打、33打点で主に1番打者を任された左打者。ライトが32歳のジェイソン・ヘイワードで昨季は打率.214、8本塁打、30打点の数字しか残せておらず、しかも彼もまた左打者。右の外野手としてはクリント・フレイジャーがいるが、右の強打の外野手がチームの補強ポイントであり、鈴木はヘイワードにとってかわってライトのレギュラーとして起用されるとの見方が強い。 MLB公式サイトも、「鈴木はカブスで2016年からヘイワードで固定されてきたライトが最も適しているように見える。ヘイワード(ゴールドグラブ5度受賞)は堅実な守備を披露し続ける一方で、彼の打撃成績は2021年に大きな後退を見せた。このベテラン選手(のヘイワード)は22年と23年にそれぞれ2200万ドル(約26億円)を手にする」という見解を述べ、 CBSスポーツは、「専門家は鈴木を優れたオールラウンド選手として見ている。彼は素晴らしい生粋のパワーがあり、ストライクゾーンを見極められ、ライトで価値を高めた強肩を持つ。ヘイワードからライトのレギュラーポジションを奪いそうだ」と伝えた。 同メディアは、「鈴木は、メジャーにやって来て失望させてきた日本人の打者の最近の流れを止めることを試みるだろう。秋山翔吾(レッズ)と筒香嘉智(パイレーツ)はともに期待を裏切り苦労してきた。エンゼルスで二刀流の大谷翔平がMLBで大きく取り上げられている最後の日本人野手となっている。鈴木は、この(日本からの野手の)スランプを終わらせる機会を得て、その挑戦をどのチームで行うかが明らかになった」と期待を寄せている。 またカブスは、鈴木と同時に守備力に定評のあるアンドレルトン・シモンズ内野手も獲得しており「最高の外野手と最高の内野手を獲得したことで今季のチームの失点が減るかもしれない」(NBCスポーツ)と鈴木の守備力への期待もあるようだ。 一方の鈴木もチームの優勝争い、勝利に貢献することや、野球に集中できる環境などをチーム選択の条件にしており、カブスの数年後を見据えた再建ビジョンや、過去に福留、田口壮、藤川球児、高橋尚成、和田毅、川崎宗則、上原浩治、ダルビッシュらの日本人がプレーした実績もあるカブスの環境は最適だったに違いない。鈴木はメディカルチェックを経て入団会見を行い、アリゾナキャンプに合流することになる。