広島の鈴木誠也が明日(日本時間23日)ポスティング申請…米報道…レンジャーズ、メッツ、マリナーズなど5球団以上が争奪戦
メジャー挑戦を表明している広島の鈴木誠也(27)が現地時間22日(日本時間23日)にポスティング手続きが行われることをMLB公式サイトなど複数の米メディアが報道した。MLB公式サイトによると「外野手の鈴木誠也が日本プロ野球(NPB)の広島東洋カープから月曜日(現地時間22日)にポスティングされ、MLBの全30球団に契約可能となる」という。 全米メディアの焦点は2点。どのチームが鈴木の獲得に動くか、そしてMLBと選手会の間で結ばれている労使協定が12月1日に切れる問題が交渉にどう影響するかの2点だ。 MLB公式サイトのジョン・ポール・モロシ記者は「レンジャーズとメッツが鈴木獲得を狙うチームの中にいる」と断言。「テキサス・レンジャーズは2012年に右腕のダルビッシュ有と契約した後もNPBとスカウティングで近い位置にあり、2021年にアメリカン・リーグで右打者の本塁打数が最下位だったことから右打者のパワーを必要としている」と分析した。 メッツについては、「マイケル・コンフォートがフリーエージェントとなり、外野手に穴がある。ビリー・エプラー新GMは、過去に複数のNPB選手との契約に関わっている。エプラーGMは、2017年に二刀流スターの大谷翔平がエンゼルスに移籍した時のGMで、ヤンキースが2006年に井川慶、2014年に田中将大を獲得した時にフロントオフィスの一員だった」と、大谷獲得で実績のあるエプラーGMの存在がカギだとした。 CBSスポーツは、「鈴木は高い能力を持つ選手だ。CBSスポーツでは、この冬のフリーエージェント選手のランキングで15位とした。鈴木は外野手の中では3位に位置し、その上にいるのはスターリング・マルテ(アスレチックス)、ニック・カステラノス(レッズ)だけだ」と評価した上で、鈴木がフィットしそうな球団をリストアップした。
「ほとんどのチームは鈴木のような選手であれば外野手で起用できるかもしれない。鈴木に最も興味がある(また実際に彼と契約するチャンスがある)と見られるチームの3つには、マリナーズ、レンジャーズ、そしてジャイアンツが含まれる」と伝え、CBSスポーツもMLB公式と同じくレンジャーズを候補に挙げた。 米の移籍情報に詳しい専門サイトであるMLBトレードルーマーズは、フリーエージェント上位50選手の20位に鈴木をランクインさせ、契約は5年5500万ドル(約62億6000万円)と予測した。 「もし鈴木がMLBトレードルーマーズが予想したように5500万ドル(約62億6000万円)で契約すれば、契約チームは、カープに(ポスティング費として)1012万5000ドル(約11億5200万ドル)を支払わなければならず、総額は6512万5000ドル(約74億1500万円)になる」と指摘。「噂ではレッドソックス、レンジャーズ、ジャイアンツ、マリナーズがすでに興味を示している」と4つの球団名を挙げた。 米メディアの報道をまとめると、鈴木の獲得に乗り出すチームは、少なくとも5球団以上になりそうだ。 また同メディアは気になる労使問題についても記事にした。 「鈴木がポスティングを行うことは、すでに1週間前に報道されていたが、正式なポスティングのタイミングは重要だ」とし、MLBと選手会による労使協定が米東部時間の12月1日午後11時59分に失効することを紹介した。 「その失効期限までに新協定の合意があるようには見えない。新合意があるまでには12月2日にロックアウトが実施され移籍交渉は凍結になると考えられている」との現状を記した。 鈴木が22日にポスティング申請をすれば、もろに移籍交渉凍結期間と重なることになる。現状のポスティングルールによる交渉期間は、全球団にポスティングが通知された翌日から30日間。22日にポスティング申請が行われた場合、9日間しか交渉期間はないことになる。同メディアは、「鈴木が明日ポスティング手続きをするとなると、ロックアウト期限まで10日間しかない。ニューヨークポスト紙のジョエル・シャーマン記者は(ツイッターで)移籍交渉凍結は、鈴木にも適用され、実施期間中はどのチームも彼と契約できないことを認めている」と指摘した上で、「以前報道されてきたことでは、MLBとNPBが鈴木の30日期限は、交渉凍結の期間中に一旦中断されることで合意する話し合いを行っている。これは合意に達した模様で、鈴木の30日の時間は、ロックアウトの間は進まないことになるだろう。鈴木はわずか1週間あまりで急いで契約をまとめるか、反対にこの冬に待ち受ける不確かな労使紛争と折り合いをつけ、約20日の交渉時間を持つかを判断しなければならないだろう」と続けた。 ポスティング後、約9日間で、スピード決着をするのか。それとも労使交渉の決着を待つのか。鈴木は移籍球団の選択と同時にもうひとつの決断を余儀なくされる。