医者が「干されて」学んだこと 人間関係で悩まない〝コツ〟 「他人は何も変えられない」と知った
「他人は何も変えられない」
一つ目は、「変えられるのは自分の思考と行動だけ」ということだ。「他人は何も変えられない」と言ってもいい。 自分以外のすべての人、つまり他人がどう思い、どう行動するか。自分に不愉快なことがあっても、基本的には一つも変えられないと思っておいたほうがいい(もちろん暴力やいじめなどは「やめろ」とやめさせる必要があるし、やめさせられる)。 この事実に気づいた時、僕はまるで深い海の底に沈んでいるように感じた。 隣にいる人に話しかけても、海の中なので向こうには聞こえない。逆に友達が話しかけてきても、何一つ聞こえないのだ。もちろん「今日の昼飯、何食べる?」みたいな話は聞こえるけど、大切な話は絶対に聞こえない。 つまり、みんなと生きているようで、結局のところ僕らはみんなひとりなのだ。ひとりが集まって五人とか十人になっているから、みんなで生きているように見えるけど、僕らはひとりぼっちなのだ。だから、他人に何か影響を与えて考え方を変えさせるなんてことはそもそも不可能なのだ。 人生というのは思ったよりはるかに不自由だと思う。「あれ、ほとんど決まっていて何も変えられないじゃん」と思うだろう。 だけど、「自分の思考と行動だけ」は自由自在に変えることができる。学生のうちはそれほど自由じゃないと感じるかもしれないけど、大人になったらすべてが自由だ。どんな仕事をしてどこに住もうが、夕ご飯に何を食べようが、どんな服を着ようが、酒を飲もうが。 だから、まずは自分の支配下にある「自分の思考と行動」を自由に動かして、人との関係をうまくやろう。 どうやってやるのかって? これは人間関係のコツ、二つ目につながる。
理由を考える必要は1ミリもない
二つ目は、「合わない人は必ずいる。離れよう」である。 相性が悪い人は必ずいる。なぜか自分のことが嫌いだったり、その人をどうしても好きになれなかったり、そこに理由なんてない。先祖の時代に殺し合ったのかもしれないし、ご飯と牛乳みたいに合わないのかもしれない。 理由を考える必要は1ミリもない。 ただ、合わない、という事実だけで十分だ。 合わない人と出会ってしまったら、解決策は一つだけである。「離れよう」だ。理想は物理的に距離を置くこと、つまりなるべく会わないこと。できれば一生会わないのが一番である。 小さい頃は、「誰とでも仲良くしなさい」と言われる。だが、それは無視して良い。それを言っている大人は、誰とでも仲良くしていない。大人こそ、嫌な人がいたら距離を置き、自分の快適さを保っているのだ。 でも、どうしても会わないわけにいかない人がいる。学校や塾のクラスが同じ人だったり、先生だったり、職場の同僚だったり。こういう時はまず接触する時間をなるべく短くする。 その上で、精神的な距離として、その人のことを考える時間をなるべく短くすることだ。