日産、9000人削減へ--営業利益も純利益も9割減、通期でも7割下方修正
日産自動車は11月7日、2024年度の第2四半期決算および上期決算を発表した。 24年度上期は前年同期比で営業利益90%、純利益94%減 2024年度上期の財務実績。営業利益は90%、純利益は94%の減少となった 2024年度第2四半期は、連結売上高は2兆9858億円、連結営業利益は319億円、純損失は93億円。 2024年度上期の連結売上高は、前年同期比791億円減の5兆9842億円。連結営業利益は3038億円減の329億円、売上高営業利益率は0.5%で、純利益は192億円となった。 グローバルの販売台数は、前年同期比で微減の160万台。特に米国において在庫の削減や激化する販売競争に対応するための販売費用が増加し、モノづくりコストの上昇も収益を圧迫したという。 上期の実績に伴い、通期見通しを修正する。連結売上高は従来の14兆円から12兆7000億円に、連結営業利益は5000億円から3500億円減の1500億円と7割の下方修正となった。なお純利益の見通しは、同社が今後進める体制変革「ターンアラウンド」の取り組みに必要なコストを精査中のため未定としている。 外部要因に日産独自の課題も--人員9000人減など実施へ 日産自動社 社長兼最高経営責任者を務める内田誠氏は、「近年、中国で現地メーカーの新エネルギー車が急速に拡大している影響で、日産を含む合弁メーカーが主戦場とするノンプレミアムの市場が縮小している。2024年はスピードがさらに加速し、価格競争も厳しさを増している。現地メーカーは中国国外への輸出も大幅に増やしており、東南アジアや中東、中南米といった日産がビジネスを展開する他の市場にも影響が出ている。米国ではハイブリッド車、プラグインハイブリッド車(PHEV)の需要が急速に高まり、ラインアップを持っていない日産は苦戦を強いられている」と外因を話す。 一方で、「日産固有の課題もある。1番の要因は販売計画を達成できていない状況が続いていること。理由は1つではないが、市場が急速に変化するなか、われわれの計画がストレッチすぎたものであったことは否定できない」(内田氏) 一般管理費を中心とした固定費や原材料価格、取引先パートナーへの補償費用発生などによる変動費、在庫削減や競争環境に対応するためのインセンティブなどの増加に加え、米企業のように顧客ニーズに応える商品をタイムリーに提供できてないことなどを課題に挙げた。 今後は、いかなるビジネス環境の変化にも柔軟機敏に対応するべく「ターンアラウンド」に取り組む。はじめに、AMIEO(Africa、Middle East、India、 Europe and Oceania)のマネジメントコミッティ(MC)議長を務めるギョーム カルティエ氏が12月1日付けで、販売と収益に責任を持つチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)として就任する。また、2025年の1月と4月にも経営体制を変更するという。 加えて、今後の授業環境の変化に速やかに対応できるよう本社と地域拠点の役割を明確化し、スリムな組織、効率的なプロセスに変更する。具体的な場所と時期は未定ながら、グローバルの生産能力を2割、人員を9000人、販売費や一般管理費の削減などを実施し、事業の安定化と適正化を図る。スリムで強靭な事業構造に再構築することで事業のコアである商品力の向上、成長軌道に会社を戻すという。 報酬の5割自主返上--内田社長「痛恨の極み」 「(3月に経営計画の)『The Arc』を発表して成長軌道に向かうべきところが、外的な厳しさ、日産の固有の課題などで(7月に続き)二度にわたる下方修正となり、非常に大きい責任を感じている。The Arc初年度にこのような厳しい状況を迎えていることは痛恨の極みだ。世界13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として責任を痛感する」(内田氏)。内田氏をはじめとする経営会議メンバーは11月から報酬の5割を自主返上することも明かした。 なお、株主への中間配当は見送り、期末配当は業績の改善状況を見極めた上で改めて判断するとした。 また日産は同日、三菱自動車の株式の一部売却も発表しているが、「同じ日の発表にはなったが、三菱の経営戦略をサポートするもの」(内田氏)と語った。