「子どもの才能」は遺伝?親が苦手だから…と大人が勝手に判断しないほうがいい理由
子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの? 賢い子に育てたいなら「ダイニングテーブル」で絶対にやってはいけないこと これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 今回は、「子どもの才能」についてお話しします。
運動や絵は誰でもできるようになる?
子どもの先天的、後天的な才能の話は、これまでも何回か話題に出した気がします。 ここで少し整理しようかと思います。 まず、運動については、以前記載したとおり【関連記事:子どもに「運動神経がない」と言うと、どんな悪影響が?】、先天的才能というよりは後天的な才能で、親が与える環境や指導方法などに影響されているのだと考えます。 もちろん体格での有意差が出てしまうスポーツも多いので、誰でもスポーツができますと言い切るのは難しいですが、どういうかたちであれ、誰でも走れるようになるし、他の運動もそこそこ動けるようにはなるので、そこからは努力できるかが鍵かなと。 同じようなことに、絵やイラストがあって、これも後天的と言われています。努力で身につけられるものです。どれだけたくさん絵を見たのか、とか、綺麗に絵を描く技術を知っているかなどによって左右されるようです。
先天的な才能を見極め、後天的能力も伸ばす
ただ、親が苦手だから…などの理由で、子どもの能力を判断しないのが大事です。 どんな子どもでも突然変異のようなことは十分に生じるので、本人が本当に才能を持っているかどうかについて冷静に見極めないといけないですね。 親が音痴だから音楽の才能はないという決めつけもいけないですし、親が得意だからこんなこともできるはず、も違います。人それぞれなので、先天的な才能をうまく見極めてください。また、努力で身につけられる後天的能力も大事にしてください。 しかしこの件、人の子どもは客観的に見られる気がしますが、自分の子どもについてはダメですね……。わからないからこそ、子どもがやりたいということをさせるのが正しいと思っています。「好きこそものの上手なれ」がよいかなと。 今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
PROFILE
【山口利恵】 6歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。