「AIの父」すら警鐘…「AIリスク」問題はなぜそんなに重要?軽視しては絶対ダメなワケ
生成AIでリスク増大、重要選挙が相次いだ2024年に起きたこと
AIのシンギュラリティや軍事利用と聞くと、自分には関係ないと思う人も多いかもしれません。ですが、AIのリスクはすでにインシデントとして顕在化し始め、マイナスの影響を受けている企業も発生しています。 加えて、生成AIの台頭により、AIの民主化が急速に進んでいます。これまでのAIはリテラシーを有している人に活用が限定されていましたが、生成AIは「誰でも自由に使える」というその特徴により、リテラシーがない人にまで活用が急速に広がっています。 これは言い換えると、AIリスクも急速に拡大していることにほかなりません。AIリスクはひとごとと目を背けるのではなく、足元のリスクを今、適切にマネジメントすることが、将来もたらされる脅威を回避するための第一歩となります。甚大なリスクに発展する前に、AIリスクマネジメント態勢を整備していくことが私たち1人ひとりに求められているのです。 それでは、実際、どのようなAIリスク・インシデントが発生しているのか、例を見ていきましょう。 2024年は世界的に重要な選挙が多く行われた年でした。それに乗じて、悪意を持った人が、あたかも本物のように合成された偽映像を作成して大衆の行動を誘導しようとする、いわゆるディープフェイクによるインシデントが多数発生しています。 生成AIを活用して各種書類を作成したところ、実在しない内容が生成され、それが公に出回ってしまったというハルシネーション関連のインシデントも多く確認されています。 また、AIによる学習が適正に行われておらず、特定の外見や思考を持った人に対して不適切、もしくは不利益な結果を返すという公平性の欠如(バイアス問題)も発生しています。AIモデルは日々学習を繰り返しているため、利用開始時に問題がなかったとしても、利用していく過程で問題が発生してしまう「データドリフト」の問題もはらんでいることから、AIリスクをマネジメントすることの難易度は高いと言えます。