領内クルスク奪還へ焦りを強めるプーチン大統領、侵攻から3年にらみ2024年末に北朝鮮から追加派兵も
しかし、これからのクルスクでの交戦を前に筆者として大いに気になることがある。派兵に関してホワイトハウスで記者団から「ウクライナ軍は撃ち返すべきか」と質問されたバイデン大統領がこう短く答えたのだ。「もし彼らがウクライナに侵入すれば、イエスだ」。 これをそのまま解釈すれば、北朝鮮軍がロシア領であるクルスクにとどまっている限り、ウクライナ軍は北朝鮮部隊を攻撃してはならない、との立場を示したと受け取れる。
元々バイデン氏はウクライナ軍が米政府に事前の連絡をせずにクルスクに越境攻撃したことに強い不満を示していたといわれる。この点を踏まえると、ウクライナ軍がロシア領に侵入したうえに、第三国である北朝鮮軍部隊を攻撃すべきではない、との考えを口にしたとも解釈できる。 ロシアから侵攻を受けたウクライナがクルスクで、ロシア側に立って参戦してきた北朝鮮部隊に反撃するのは当然、というのが常識的で国際的な見方だと思う。今後のバイデン政権の対応を見守りたい。
吉田 成之 :新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長