領内クルスク奪還へ焦りを強めるプーチン大統領、侵攻から3年にらみ2024年末に北朝鮮から追加派兵も
つまり、北朝鮮軍がクルスク州でウクライナ軍と何らかの形で交戦状態に入るのは時間の問題というのが、ウクライナ・韓国のみならず米欧の見方だ。 ■北朝鮮からの追加派兵はあるか だが、ここで気になる疑問がある。北朝鮮からの派兵がこの約1万人規模の派遣で終わるのか、という点だ。これについて、ウクライナ情勢に詳しい別の軍事筋は以下のような見通しを筆者に明らかにした。 「現在の約1万人の派兵部隊は第1陣にすぎない。第2次派兵が2024年末か2025年初めにも行われるだろう。北朝鮮から船で極東に送られてくるだろう」
2024年6月のロ朝首脳会談で決まった派兵のトータルの規模については、会談直後には5万人規模とも10万人規模にも、という情報があった。今回の1万人規模の派兵でも侵攻の戦況に相当の影響が出ることは必至だが、これに続き、第2次派兵が行われれば、ウクライナ侵攻への影響はいっそう大きくなろう。 この場合、ウクライナはどう対抗するのか。また米欧はどう軍事的に支援するのか。第2次派兵の有無に関する見極めが非常に大事になってきた。
一方で派兵開始後、ウクライナ側はロシア軍部隊と派兵部隊兵士との間で言葉の問題などで意思疎通がうまくいっていないことを示唆する情報を公表している。 今回の派兵に対するロシア側からの見返りについては、まだ正確な内容は不明だ。北朝鮮としては、核関連技術やミサイル関連技術の提供を求めているとみられている。 今回のロシアからの北朝鮮への派兵要請について、2024年8月初めのウクライナ軍によるクルスク州への突然の越境攻撃が直接の契機になったことは、前述の前回の論考で記した。
プーチン氏は精強の第155海兵師団も投入してウクライナ軍と激戦を展開しているが、いまだに奪還のメドが立っていない。 ■クルスク奪還期日を延期したプーチン 実は、クルスク州の奪還をめぐり大統領は国防省に対し、当初2024年10月までの奪還を命じていた。しかし、この期限内にロシア軍は奪還を達成できなかった。このためプーチン氏は最近、2025年2月に期限を先送りしたといわれている。 この先送り判断の一つの材料になったのが今回の北朝鮮の派兵だろう。現在クルスク州におけるロシア軍の兵力は約5万人といわれる。しかし、早期奪還には10万人から15万人の兵力が必要と言われていた。つまり、この現兵力と必要な兵力の差をみると、5万人から10万人になる計算だ。