『グランパス・クラウン賞』永井謙佑、開幕3連敗からタイトル獲得…走りまくった今季、いつも『スピードスター』がいた
ファン投票をもとに今季のJ1名古屋グランパスで活躍した選手を選ぶ「第30回グランパス・クラウン賞」(中日スポーツ主催、愛知トヨタ協賛)の最優秀選手が、FW永井謙佑(35)に決まった。優秀選手はDF三国ケネディエブス(24)、MF森島司(27)、MF和泉竜司(31)。今季限りで退団するGKミッチェル・ランゲラック(36)には特別功労賞が贈られる。表彰式は30日の鳥栖戦後、岐阜市の長良川競技場で行われ、永井には「クラウン」、三国ら4人には賞金が贈られる。表彰式後、投票したファンを対象にした抽選会が行われる。 35歳のシーズンながら、トップスピード時速35・0キロはチーム1位。快足FWの永井が2014年以来2度目、4人目の複数回受賞者となった。 「今年の方がチームとしても苦しみながら、ルヴァン杯でタイトルを取れたので。いろんな人の支えがあった」と感謝した。 山あり谷ありだった今季。チームが苦境から抜け出すとき、振り返ると永井がいた。開幕3連敗を無得点で喫した直後の柏戦(三協F柏)。前半18分に先制弾を決め、今季初勝利を挙げた。 開幕3連敗は「なかなかパンチあるスタートだった。正直、今年やべえなってその時は思った」と焦りもあったが「不思議なもので点が入って勝てると、チームに勢いが出たり、自信がついたりで、踏ん張れる」とチームは息を吹き返した。 秋には、9月14日のFC東京戦に1―4で大敗。直後の同18日の新潟戦(豊田スタジアム)から、永井を中心に前線からプレスを掛ける戦術に変更した。勝利を引き寄せる2点目を奪って攻守に躍動すると、続く川崎戦(同)でも先制点。磐田戦(同)で3連勝し、J1残留に大きく前進したチームはルヴァン杯に集中。タイトル獲得へとつながった。 走りまくったシーズンだが、35歳は日本人フィールド選手最年長。これまでシーズン中の長期離脱と無縁だったが、今季は7月途中から1カ月の間、けがで離脱した。「疲労回復の部分は、ケアをやらなかったらやらなかっただけ残る」と自己管理は必須。昼寝で睡眠時間を補い、体を休めることで走力を維持している。 練習中から誰よりも声を出し、鼓舞するスピードスター。「勝ちたいっすね。最近リーグ戦で勝てていないので。やっぱり勝って締めくくりたい」。残る2戦もチームのためにピッチを駆ける。 【選考事情】 投票数上位の最終候補は、永井と森島の2人に絞られた。森島は、フィールドプレーヤーで最も長い時間プレーし攻撃の中心として貢献。永井は出場時間こそ短いが、重要な試合で数多くゴールに絡んだ。選考会議では、インパクトの面からも永井を推す声が圧倒的だった。若手選手対象のフレッシュグランパス賞は、めぼしい活躍をした選手がおらず選出されなかった。
中日スポーツ