西洋医学×漢方医学のスペシャリスト、今津嘉宏先生が教えます! 漢方は未病の段階でも治療の対象。体質や状態に合わせて処方してくれる!【40代・50代、漢方の知識、基本のき①前編】
体の不調を改善するのに漢方はいいと聞くけれど、知識がないので、どう取り入れればいいかわからないという人に。漢方の入門編として、知っておきたい基本的なことをQ&A形式でご紹介。漢方に精通し、多くの患者さんを西洋医学と漢方で救ってきた医師「芝大門 いまづ クリニック」院長の今津嘉宏さんに前編後編の2回にわたってレクチャーしていただいた。入門編の前編となる今回は、漢方におけるベースの考え方をお伝えしよう。
漢方のこと、きちんと知りたい!
近年、ますます人気が高まっているのが漢方薬。ドラッグストアで取り扱われている漢方薬も種類が増え、以前より身近なものになっている。 そんな漢方薬は、40代、50代になると増えてくる、「原因ははっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い、つらい」といった不定愁訴を改善したいときの強い味方でもある。 不調をケアする方法のひとつとして、漢方のことをもっと勉強したい、上手に取り入れられるようになりたい、という人に、知っておくと役に立つ「漢方の基礎知識」をここでは紹介。 漢方の歴史や理論、原料、西洋医学との違いなど、実はわかっていないという人は、ぜひこの機会に勉強しよう!
質問に答えていただいたのは、漢方を取り入れた診療の第一人者、「芝大門 いまづ クリニック」院長の今津嘉宏先生
今回は、漢方に精通した「芝大門 いまづ クリニック」院長の今津先生に教えていただいた。 今津先生は、2011年の東日本大震災を機に、現場で患者と直接かかわる仕事がしたいと考え、患者のそばにいられる「町医者」を目指して「芝大門 いまづ クリニック」を開業。 外科医として大学病院に勤務していた頃に漢方の可能性に惹かれ、その後、本格的に漢方医学を勉強。以来、漢方をがん治療に取り入れるなど、西洋医学と漢方医学を区別することなく、両方のよいところを取り入れ、患者さんの状態を総合的に診たうえで最適な方法を選び、診療にあたっている。
Q1 漢方はどこで生まれたもの? 中国? 「韓方」とは違うの?
A 漢方は、日本で生まれた伝統医学 「漢方は中国由来と思われがちですが、日本オリジナルの伝統医学です。鎖国の時代に、海外から輸入されたオランダ医学や中国医学(中医学)と区別するために、古くから日本国内で行われてきた医学を漢方と呼ぶようになりました。 日本の風土で熟成されて鎖国の時代を経て、日本人の体質に合った医学として発展してきたのが漢方で、その治療に使われてきた薬が漢方薬です。 中国の伝統医学の中医学と、韓国の伝統医学の韓医学(韓方)と、日本の漢方は世界的に見ても異なった学問ととらえられています。 中医学では、四診と呼ばれる診断技術によって情報を収集し、その結果から診断して治療が行われます。一方、韓医学では、四象医学に基づいて4つの体質を4つのタイプに分類する理論が使われています。 そして日本の漢方では、舌、脈、腹を診察し、陰陽、虚実、表裏、気血水などといった理論に基づいて診断し、漢方薬で治療をします」 ※中国、韓国では「腹診」を行いません。