福島原発事故から10年 小泉・菅元首相が会見(全文2)メディアの責任は非常に大きい
石油はどのような役割を果たすべきか
ARAB NEWS:アザリと申します。サウジ、そしてUAEのニュースなどを報道している者です。その意味で幾つか質問があります。まずサウジとUAEはやはり日本も石油という意味で非常に関係の深い国なんですけれども、今後の日本のエネルギーの中には石油というのがどういうような役割を果たすべきなのかということがまず1つ目、お2人への質問です。そして菅先生には、事故が起きたあとに東京の住民も避難させるというようなお話が当時あったかと思いますが、それについてのコメントがあればお願いいたします。そして小泉先生にはイラク戦争のことについてお伺いしたいと思うんですけれども、当時はイラクが核兵器を開発しようとしている、大量破壊兵器を開発しようとしているという理由で戦争を支持されていたかと思いますが、そのあとそれがそうではなかったということが明らかになりましたが、それについてもしコメントできることがありましたらお願いいたします。 菅:石油というのはこの数十年間、世界の中心的なエネルギー源であったわけですが、私は、将来の方向としては、CO2の問題もありますので、基本的には化石燃料、石油を含む化石燃料は全て使わないようにすると。そしてそうでない再生可能エネルギー、つまりは太陽光や風力、バイオマスで全てのエネルギーは賄うべきだと、このように考えております。 また、事故が起きたとき私の頭の中に浮かんだのは、小松左京さんの書かれた『日本沈没』という、日本が全部沈没して日本人全員が海外に逃げ出さなければならなくなる、それが頭に浮かびました。実際には事故が発生して2週間後に、近藤駿介さんという原子力委員会の委員長から、最悪の場合、特に4号機がいろいろ危なかったんですが、250キロ圏、これは東京も含む約5000万人が住んでいるところですが、その範囲からの避難が最悪のケースでは必要になるというコメントをいただきました。そういう意味で、事故のときにやはりそのことを頭に入れながら、例えばぎりぎりのところで東電が撤退すると言ったときに、それを駄目だと言って私が止めたのも、その最悪の状況、つまりは5000万人の人たちが逃げ出さなきゃならなくなるような状況に至らないためには、本当に命懸けでもその場で踏みとどまってほしいと、そう考えたから、そのことを申し上げました。以上です。