福島原発事故から10年 小泉・菅元首相が会見(全文2)メディアの責任は非常に大きい
現政権になって原子力戦略・方針に変化は?
Nikkei Asia:Nikkei Asiaのシャープと申します。2つほどお2人に質問がありますが、まず1つ目は今の菅政権の中で原子力に関する戦略・方針では、変化は見られているのかということがまず1つ目の質問です。そして2つ目のほうなんですけれども、政府の新しいエネルギー戦略、エネルギー計画のほうでは、確か30%から40%が原子力または火力で含まれているというふうに伺っていますが、その新しいエネルギー戦略、エネルギー計画についてのコメントをお願いいたします。 菅:菅政権は、先の所信表明ではいわゆるカーボンニュートラルは言いましたけども、それをどういう形で実現するかは、その場では触れられませんでした。しかし多くの自民党関係者は、それを実現するためには原発の再稼働や新設が必要だと。それをいわば口実にして原発に戻ろうとしていますので、やはり今の菅政権も、そういう大きな流れにあるかなと思っております。 また、現代のエネルギー基本計画でも原発比率は20から22ということを菅政権は言っているわけで、場合によってはそれを、さらに目標を引き上げるつもりかもしれません。しかし現実は、先ほど申し上げましたが、この10年間で原発の比率というのはわずか3%なんですね。そしてコストは高くなっている。ですから私は、これ以上原発を増やすことは経済的にも成り立たない。だから早く菅政権もそれに気が付いて、原発ゼロに向かうことが望ましいと思っています。
原発のコストが高くなっている
小泉:最近の新聞でしたかね。何新聞か分からなかったけども、新聞の報道で、東電はこの福島の事故の損害賠償、これは自分の金じゃできませんと。政府が支援してくださいと。もう1つ、安全対策。これも事故後、非常にコストが高くなった。東電だけじゃできないから政府が支援してください。もう1つ、廃炉。これも、廃炉も自分たちの金だけじゃできない、支援してくれという。今まで原発ってコスト【***00:58:55】してたんだよ、コストを。コストが高くなっちゃってるんだ、みんな。やる必要ないんですよ。【***00:59:03】なことをやってるんだよ。一番金が掛かるんだよ。安全でもないっていうのも分かってる。何よりも核のごみの捨て場所がないんだから。こういう当たり前のことをよくも優秀な頭のいい人たちが、経営者もやるなと思って。不思議だよ。 A:会場から3つほど質問を受けてから、またオンラインのほうでも幾つか届いていますので、このあともお伺いいたします。