黒田「動くボール」で日本凱旋の不安消えた!
メジャーから8年ぶりに凱旋した広島の黒田博樹(40)が25日、沖縄・沖縄市の広島キャンプで初のフリー打撃登板を行い、ルーキーの野間峻祥(22)と3年目の鈴木誠也(20)を相手に35球を投じた。 ストレート、取り組み中のカーブ、スライダー、カット、ツーシームと、スプリット以外の全球種を投じたが、ヒット性の打球は、わずかに2本。首脳陣を喜ばせ、黒田自身の不安を消したのは、バッターの手元で小さく動くツーシーム、カットという生命線になるボールの鋭い変化だった。 売り出し中の若手内野手で、21U侍ジャパンのメンバーにも選ばれていた鈴木は、鋭く速く変化するツーシームを芯で捉えることに苦労した。 「監督からは『いい機会だから思い切って行け』と言われましたが、本当にいい経験になりました。ボールが凄く動いたので驚きました」 左打者の野間には、カットボールを意識的にインサイドへ投じたが、その野間も、打ち損じがほとんどで「カットボールで、しっかりとコースを突かれました。細かくコントロールされていました」と、メジャーリーガーのテクニックに脱帽した。 黒田が、7年ぶりの日本凱旋において、もっとも不安に感じていたのが、カット、ツーシームという縫い目への指のかけ方と握りの変化だけで、小さく動かすボールの出来だった。日本の公式球は、メジャーの公式球に比べて明らかに小さく、縫い目の高さも低いため、こういうストレートのムービング系ボールの変化が鈍いとされている。メジャーで成功を収めた黒田の生命線は、この2種類のボールだっただけに、日本の公式球でその変化を継続できるかどうかが、成否を決める大きなポイントだったのだ。 自主トレの段階から日本の公式球を使って、工夫をしながら“アジャスト”を心がけてきたが、「どう動くか」は、ブルペンよりも、打者から「どう見えるか」がより重要で、この日のフリー打撃登板は大げさに言えば、その生命線のボールが日本球界でも通用するかどうかのテストだったわけである。 首脳陣も、もちろん、その黒田の不安を理解していて「小さく動くボール」に打者がどう反応するかに注目をしていたが、緒方新監督が「さすがによくボールが動くね。あれだけボールの選択肢があれば、(リードする)キャッチャーが大変になるかもしれないね」と心配するほど動いた。