「やっぱり、作家ってすごい…!」担当編集が驚愕した…「”現役最強”の歴史・時代小説家の異能」
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――そして、なんといっても今村さんの書くアクションシーンはもう絶品ですね。読んでいて、刀の鍔迫り合いの音、銃の発砲音、侍たちの息遣いさえ聞こえてくるような臨場感がありますよね。読んでいてじんわりと手のひらに汗をかいてしまうほどです(笑)。 やっぱり今村さんが書く戦闘シーンはすごいですよね。読者の方からも次々と映像が浮かんでくるとのご感想をよく頂きます。今村さんの筆が乗ったときは、もうそれは止まらなくて「このままずっと読んでいたい気持ちはやまやまなのですが、東京まで道のりは遠いので、このあたりで一度止めときましょうか」とお伝えしたこともあります(笑)。 ――戦闘だけじゃないのが『イクサガミ』。倒れゆく兄弟たちが残った者へと奥義を継承していくシーンなんて涙なしには読めません。竹内さんにとって、印象的な戦闘シーンはありますか。 それはやっぱり『人』の冒頭に出てくる島田宿での戦いです。ここでは、蠱毒を生き抜いた猛者たちが一堂に会します。皆、人外の強さを誇っているわけですから、戦いは熾烈そのもの。新たに登場する「海外勢」の活躍にはぜひ注目してほしいです。 ――大国・清で天才の名を欲しいままにした陸乾と「台湾の伝説」と呼ばれる謎の戦士ですね。彼らは凄まじいですね。愁二郎たちが成す術なく追い込まれていきます。 これまで侍たちを中心に回っていた戦場の空気が一気に変わるというか、風向きが変わるんです。誰が次のページで死んでもおかしくない、という緊張感がある戦いです。なんたって残り23人です。誰が東京へ辿り着くのか、それを占う『人』の最初の山場です。 ――たしかに。読んでいてドキドキしました。ほかに印象的なシーンはありますか。 今村さんって本当に結末がすばらしいんですよね。『童の神』を初めて読んだ時、こんなにも胸を打つラストがあるだろうかと思いましたが、それは『イクサガミ』も同じ。『天』は無骨が斬りおとした敵の首の髪を掴んでくるくると回していて、『地』はある意外な人物が東京へ一番乗りする場面で終わる。『人』も感動的ですよ。ネタバレになってしまうので言えませんが「風を感じるラスト」というのは言ってもいいかもしれません。楽しみにしてほしいです。
講談社文庫出版部