「河村はロッカールームで何度も謝罪した」河村勇輝(23歳)今も心に残る“あの試合”…世界一厳しいNBAで生き残るために必要な“吸収と消化”とは?
「コンテストする必要はなかったプレーだと思う」
ファウルはしていないと思っていても、ファウルを吹かれたという事実は変わらない。「審判がファウルといえばファウルですし……」と、その運命を受け止める。 「振り返ってみれば、あそこはああいうふうにコンテストする(激しく守る)必要はなかったプレーだったと思う。(グループラウンド初戦の)ドイツ戦に負けて、チーム全員があのゲームに賭けていた部分もあって、全員、試合が終わるまで1秒たりともリラックスしませんでしたし、そういったなかで、僕としては経験のなさがああいった冷静さを欠いたプレーになってしまったのかなっていうのもあって。それを経験がなかったですませたくもないですけれど、あの経験があったからこそ……。僕はオリンピックの悔しさはオリンピックでしか晴らせないと思ってるので。ロサンゼルス・オリンピックに出るのも簡単ではないですけど、絶対ロサンゼルス・オリンピックに出て、あのフランス戦の悔しさっていうものを晴らしたいという気持ちは常に持ってます」 河村の持ち味のひとつに、常に全力で戦う姿勢がある。特にディフェンスに関しては、身長が低いハンディを運動量やしつこさでカバーしてきた。あの場面では、その彼の一生懸命さが裏目に出てしまった。 「そこの駆け引きだったりとか、そういうところがまだできていなかった。ディフェンスはもちろんハードにやるっていうところが大前提、そこがなければどれだけスキルがある選手でもやっていけないのがこの厳しいバスケットの世界だと思うので、そこの気持ちを持ちつつ、やっぱ常にどんな状況でも冷静な判断をするっていうのが勝つべきチームの選手が持つメンタリティだと思うので。そこを僕はまだ持ち合わせてなかった。それで、あの4年に一度っていうところの大切な場面でそれを出してしまった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。まぁ、でもやっぱりこれを必ず、次のオリンピックで晴らしたいなっていう気持ちはすごくあります」 一流の選手に共通しているのは、成長し続ける力。高いレベルに触れることも、そのなかで悔しい思いをすることも、そのための大事なエッセンスだ。河村には、自分に必要なことをまわりから吸収し、それを自分のものとして消化する才能がある。それこそが、彼の学ぶ力であり、成長力となっている。 夏にはオリンピックという大舞台で、そして今はNBAという一流選手たちが集う世界で、きょうも学び、成長する日々だ。 〈前編から続く〉
(「日々是バスケ」宮地陽子 = 文)
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