謎だらけの「古代ローマの発明王・ヘロン」の定理が美しいほどに簡潔…「ピタゴラスをも凌駕する」その価値は「一般性」にあった
「特殊」より「一般」が尊ばれる
三角形に関する定理として最も有名なのは、誰でも知っている「ピタゴラスの定理」であろう。直角三角形の三辺の長さをa、b、c(斜辺)としたとき、 a²+b²=c² が成り立つというものである。式の形から「三平方の定理」ともよばれる。 ヘロンの公式はピタゴラスの定理ほど有名ではないが、直角三角形のように特殊な三角形ではなく、一般的な三角形に関するものである。 数学や物理学の分野では特殊なものよりも一般的なもののほうに価値がある。かのアインシュタインが「特殊相対性理論」から「一般相対性理論」の確立まで10年の歳月を費やしたのもそのためである。 ヘロンの公式は、三辺の長さがa、b、cの任意の三角形の面積(T)は「s=(a+b+c)/2」とおけば、 T=√s(s-a)(s-b)(s-c) で与えられるというものである。 私は、ピタゴラスの定理やヘロンの公式のようなきわめて簡潔な式を見るたびに感動するのであるが、読者のみなさんはいかがであろうか。
「証明」を明記したことで戴冠の栄誉に
ピタゴラスの定理の証明も決して簡単というわけではないが、ヘロンの公式の証明は三角比や余弦定理、因数分解を使わなければならず、少々やっかいである。 じつは、「ヘロンの公式」そのものは、アルキメデスも、あるいはそれ以前のピタゴラスも知っていたのではないかという説もある。 しかし、「証明」を著書『メトリカ』の中にはっきりと記述していることから、この公式に「ヘロン」の名が冠せられている。 * * * 今回ご紹介した“神秘の発明王”の異名をとるヘロン。なんと、彼は、今から2000年も前に「エンジンの原理」を確立していました。 古代日本の超技術〈新装改訂版〉 古代世界の超技術〈改訂新版〉
志村 史夫(ノースカロライナ州立大学終身教授(Tenured Professor))
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