「走るホテル」の最上級クラス、110万円払って乗り込むVIPたちの正体は… 北米大陸横断列車、カナディアン乗車記②「鉄道なにコレ!?」【第58回】
英語の「Please make up the room」を日本語で「部屋を作ってください」と記しているのはやや直訳的で、「部屋を掃除してください」と表記した方が良い気はする。一方、裏に記された英語の「Please do not disturb」を「邪魔しないでください」と訳したのは適切だ。 同じ車両には個室ではない開放型の2段寝台と、寝台車の利用者ならば空いている時に使える共用のシャワールームもある。シャワーを使う時にはダイヤルを回して温度を調整し、ボタンを押すとお湯が出てくる仕組みだ。 ▽展望席の最前列が空いていたのは…「訳あり」 これに対し、プレスティージ寝台車クラスならばそれぞれの客室にシャワーとトイレの両方を設けている。最後尾に連結されている展望車両「パークカー」に足を運ぶと、他にもVIP向けの特典が用意されているのが分かった。 パークカーは流れゆく景色を楽しめる後面展望に加え、2階には車窓を360度見渡すことができる展望用座席も設けている。ドーム形になった天井の付近まで窓が延びており、通路を挟んで左右二つずつの座席が6列、計24席ある。
2階に足を運ぶと最前列の〝特等席〟が4席全て空いていたが、近づくと「訳あり」なのに気づいた。座席の上に「プレスティージ客専用」と記した札が差し込まれていたのだ。 〝特等席〟から排除された私と息子が2列目に座っていると、1人の男性が最前列の座席に陣取った。すると、男性は笑みを浮かべながら「日本にはこんなにゆっくりではない、高速で走る新幹線があるよな。最高時速は何キロ出るんだっけ?」と尋ねてきた。息子と日本語で話していたので、日本人だと気づいたらしい。 「最も速い東北新幹線の最高時速は320キロですね。最初に開業した新幹線の東海道新幹線の最高時速は285キロです」と答えると、男性は「僕も日本を訪れた時には東京から京都まで東海道新幹線に乗ったんだ。日本では鉄道で旅行をしたのに、自分の国で鉄道旅行をするのはこれが初めてなんだよ」と打ち明けた。 ▽日系メーカー元社員が最上位クラスを選んだ納得の理由