第71回マカオGPの基礎知識/ドライバー編:平均年齢18歳。FRワールドカップに参戦する27名
11月14~17日にマカオ市街地のギア・サーキットで開催されるマカオGP。第71回目を迎える今年は、史上初めてFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップ(FRワールドカップ)がメインレースとして行われる。 【写真】2023年マカオGPのFIA F3、ロードレース、GTレースのウイナーたち 本稿ではFRワールドカップのエントリーリストと、参戦ドライバー情報をお届けする。 * * * * * * 10月22日にFIA国際自動車連盟はFRワールドカップのエントリーリストを公開した。その時点では2名のドライバーがTBC(未定)となっていたが、11月5日にエントリーリストが更新され、16カ国27名のラインアップが確定した。 今大会に参戦するドライバーの平均年齢は18歳。最年長は25歳の小川颯太(TGM Grand Prix)、最年少の16歳は5名、さらに27名のうち22名が10代だ。 これは今回の参戦資格に『パワーウェイトレシオ(車重÷最大出力)が1.5kg/bhp未満のシングルシーター選手権を戦ったことがないドライバーしかエントリーできない(FIA F2でも3戦以下であれば可)』と定められたことで、FIA F2(約1.2kg/bhp)、全日本スーパーフォーミュラ選手権(約1.2kg/bhp)といったシリーズにレギュラー参戦しているドライバーの参戦ができなくなったことも影響している。 一方で、FIA F3は約1.7kg/bhpとなるため、今季FIA F3にレギュラー参戦したドライバーが4名参戦を果たしている。なお、27名のうち、ギア・サーキット経験者は9名。そのうち6名がFIA F3規格で開催された2023年マカオグランプリ、3名が昨年併催されたマカオF4レースで経験している。日本勢はいずれもギア・サーキット初挑戦だ。 自動車メーカーおよびF1チームの育成プログラム所属は8名。なかでもフェラーリ育成で2022年のFR欧州選手権(FRECA)チャンピオン、2023年と2024年にFIA F3シリーズ6位に入ったディーノ・ベガノビッチ(SJMセオドール・プレマ・レーシング)は、参戦チームがFRECAで3連覇中のプレマであり、ベガノビッチ自身もマカオGPは2度目の挑戦でギア・サーキットを経験済ということもあり注目の存在だ。 ベガノビッチはFIA F3ワールドカップとして開催された2023年、予選レースで4位に入るも決勝ではアクシデントに見舞われリタイアに終わっている。マカオでの忘れ物を取り戻し、スポット参戦が決定したFIA F2の終盤2戦に繋げたいところだろう。 また、今年は地元マカオ/中華圏のドライバーもグランプリレースへの参戦が実現した。マカオ出身のティアゴ・ロドリゲス(エヴァンスGP)は2023年の中国F4チャンピオンであり、同年のマカオF4レースでも6位フィニッシュを果たしている。 そして中国出身の刘瑞祺(PHMレーシング)は、FRECAでシリーズ22位につけたドライバーでFRの経験値は十分だろう。今大会は『中華人民共和国建国75周年及びマカオ特別行政区成立25周年記念・第71回マカオグランプリ』が正式名称となるだけに、地元の声援を糧に彼らがどのような走りを見せてくれるかも楽しみなところだ。 そして、日本勢5名の走りに期待が募る。5名うち、FRでの実戦経験者はFRJ王者の小川、FRECA(欧州)と中東選手権を戦ったリー海夏澄(ARTグランプリ)の2名のみ。ただ、小林利徠斗(TOM’S Formula)と中村仁(TOM’S Formula)はともに全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(SFライツ)とスーパーGT GT300を戦い、佐藤凛太郎(TGM Grand Prix)は日本のFIA F4で善戦している実力者だ。 彼らがいかに、71回目を迎える伝統のマカオグランプリに挑むか、日本のレースファンにとって最大の注目となるに違いない。フリー走行と予選が行われる14日(木)、15日(金)には降雨の可能性もある今大会。初のFRワールドカップはどのような展開となるだろうか。 ■第71回マカオグランプリ/FIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップ エントリーリスト(11月5日更新) No./ドライバー/ライセンス/チーム/年齢/育成プログラム 1/オリバー・ゲーテ/ドイツ/MPモータースポーツ/20/レッドブル育成 2/ヴァレリオ・リニチェッラ/イタリア/MPモータースポーツ/17/- 3/マティア・コルナギ/イタリア/MPモータースポーツ/16/- 4/ウーゴ・ウゴチュクウ/アメリカ/R-ACE GP/17/マクラーレン育成 5/エンツォ・デリニー/フランス/R-ACE GP/16/レッドブル育成 6/トゥッカ・タポネン/フィンランド/R-ACE GP/18/フェラーリ育成 7/ノエル・レオン/メキシコ/KCMG・IXO・バイ・ピナクル/19/- 8/マリ・ボヤ/スペイン/KCMG・IXO・バイ・ピナクル/20/- 14/テオフィル・ナエル/フランス/サンテロック・レーシング/17/- 15/アレクサンダー・アブハザワ/カザフスタン/サンテロック・レーシング/18/- 16/ジェームズ・ウォートン/オーストラリア/ARTグランプリ/18/- 17/エヴァン・ジルテール/フランス/ARTグランプリ/17/- 18/リー海夏澄/日本/ARTグランプリ/17/- 19/小林利徠斗/日本/TOM'S Formula/19/TGR-DC 20/中村仁/日本/TOM'S Formula/18/TGR-DC 21/ジェット・ボウリング/アメリカ/キウイ・モータースポーツ/18/- 25/ラシッド・アル・ダヘリ/アラブ首長国連邦/PHMレーシング/16/- 26/マテオ・デ・パロ/イタリア/PHMレーシング/16/- 27/刘瑞祺/中国/PHMレーシング/18/- 30/ディーノ・ベガノビッチ/スウェーデン/SJMセオドール・プレマ・レーシング/20/フェラーリ育成 31/フレディ・スレーター/イギリス/SJMセオドール・プレマ・レーシング/16/- 32/アレクサンダー・ダン/アイルランド/SJMセオドール・プレマ・レーシング/18/マクラーレン育成 33/ティアゴ・ロドリゲス/マカオ/エヴァンスGP/17/- 37/クーパー・ウェブスター/オーストラリア/エヴァンスGP/21/- 53/小川颯太/日本/TGM Grand Prix/25/- 55/佐藤凛太郎/日本/TGM Grand Prix/18/- 88/カイ・ダリヤナニ/イギリス/エヴァンスGP/19/- ・ロシア系ジョージア国籍のアレクサンダー・アブハザワはカザフスタンのライセンスで参加 ・インド出身のカイ・ダリヤナニはイギリスのライセンスで参加 [オートスポーツweb 2024年11月12日]