ハリルJ欧州遠征の裏で南米遠征していた東京五輪組・森保Jの現在地とは?
一方、及第点が与えられるのは、攻撃のビルドアップだ。昨年12月のタイ遠征、今年1月のU-23アジア選手権と比べ、格段にスムーズになっていたのだ。 今大会は中1日で進んだため、戦術トレーニングをする時間がなく、「イメージを持ってもらうために、これまでの活動の中からコンセプトの映像を作って見せたり、試合前にマグネットを使って全体的な戦い方の説明をしただけ」と森保監督は明かす。 そんな状態だったにもかかわらず、3バックを中心に攻撃を組み立て、ボランチ、2シャドー、ウイングバックに面白いようにボールが入る。どうすれば、どこで誰が空くのか、3-4-2-1のフォーメーションの特性をチームとして共有しているようだった。 U-23アジア選手権に続く選出となった三好康児(北海道コンサドーレ札幌)は「やっぱり、森保さんのやり方について、それぞれが考えてきたからだと思います」と明かしたが、中山雄太(柏レイソル)、杉岡といった森保ジャパン初招集の選手が、相手を食いつかせ、はがし、散らし、飛ばし、持ち運ぶといったビルドアップにおける役割をしっかりとこなしていたのは頼もしかった。 「自分の特徴を考えると(森保監督が率いていた)広島時代のイメージでやれば、こなせると思っていました」と中山が言えば、「湘南でやっているようなプレーをしたら褒めてもらえたので、違和感なくやれたと思います」と杉岡も胸を張る。さすが昨年のU-20ワールドカップに出場し、J1のクラブでレギュラーを張る選手たちだけのことはある。 大会前、森保監督は今遠征のテーマのひとつに「ビルドアップのクオリティ」を挙げており、この点に関しては、成果を手に入れた。ただし、攻撃面で上手くいったのは、相手のバイタルエリアにボールを運ぶまで。そこから先へは3試合通じて、なかなか侵入できなかった。 ゴール前でのプレー精度が落ちてシュートまで持ち込めなかったり、ラストパスがズレる。結局、サイドからクロスを入れるだけに留まったりして、1トップ2シャドーのコンビネーションによる崩しはほとんど見られなかった。「攻撃のアタッキングサード、ペナルティエリア辺りでのクオリティを上げていかなければならない」と指揮官も今後の課題として認めている。 ただし、エクスキューズもある。今大会に関して言えば、前線のコンビネーションを磨くトレーニング時間がまったく取れなかったからだ。また、まだ招集されていない小川航基(ジュビロ磐田)、堂安律(フローニンゲン)、久保建英(FC東京)らが加われば、ゴール前のクオリティも変わってくるだろう。