ハリルJ欧州遠征の裏で南米遠征していた東京五輪組・森保Jの現在地とは?
一方、今大会に限らず、昨年12月のタイ遠征、今年1月のU-23アジア選手権を通じて浮かび上がるのは、2シャドーにドリブラーがフィットしないという事実だ。 2シャドーは1トップやワイドの選手との距離やコンビネーション、相手の間に立つポジショニングが非常に求められるポジション。技巧派の三好や針谷岳晃(ジュビロ磐田)が相手の間でボールを巧みに引き出してさばく反面、ドリブラーの伊藤達哉(ハンブルガーSV)や三笘薫(筑波大)は、前方にスペースがあってこそ個性を生かせるタイプ。 「もともと中でのプレーは課題」と伊藤自身も振り返っていたが、狭いスペースでのプレーに苦戦していた。 森保監督の広島時代にドリブラーの柏好文が左ウイングバックとして攻撃のカギを握っていたり、U-21日本代表においてドリブラーの遠藤渓太(横浜F・マリノス)が左ウイングバックとして自身の持ち味を存分に発揮しているのを見ると、U-23アジア選手権で同ポジションを務めた岩崎悠人(京都サンガ)を含め、今後、起用ポジションの見直しもあるかもしれない。 今遠征では、パラグアイ戦の後半途中からは3バック中央の中山をボランチに上げ、4-4-2のオプションも試した。また、インターナショナルマッチウイークでの開催だったため、伊藤や山口瑠伊(エストレマドゥーラ)といった欧州でプレーする選手を招集。彼らを含め、8人の選手を初めて招集し、これで3度の活動を通して呼んだ選手は48人になった。 これはまさに、予選が免除されている東京五輪だからこそのチーム作りで、チーム戦術は多くの選手に共有され、指揮官の頭の中には選手のデータが着々と蓄積されているに違いない。 南米勢とアウェーで3試合を行い、いずれのゲームでも攻撃のビルドアップにおいて成果を得られた一方で、ミスを見逃してもらえず、畳み掛けられた。こうした南米勢の勝負強さ、駆け引きに触れられたのは貴重な体験で、今遠征に参加した23人の選手たちは、東京五輪に向けたサバイバルにおいて大きなアドバンテージを得た。それを生かすも殺すも自分次第。それぞれが自身の成長にこの体験を生かすことが、東京五輪でのメダル獲得につながっていく。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)