【衝撃】「景色すべてが機械式駐車場」「もうこれで決定です」…江東区のタワマン建設に対する「地元住人の怒り」
出せば完売、売れば高額。タワマンブームが終わらない。庶民は手が出せない代物なのに、いったい誰が買っているのか。バブルは弾けるのか。タワマンのいまと未来、天国と地獄を覗いてみるーー。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」
目の前すべてが機械式駐車場
「デベロッパーは、私たちのことを軽んじているとしか思えません。彼らがマンションを建ててしまえば最後、周囲の住民は以前のような日常生活を営むことができなくなってしまいます」 こう憤るのは、越中島地区再開発住民の会代表を務める小川昭弘さんだ。 いま東京都江東区の越中島で、高層マンションの建設をめぐって住民たちの反対運動が巻き起こっている。発端は、昨年4月に東京医科歯科大学(現・東京科学大学)と野村不動産が発表した一枚のプレスリリースだ。 医科歯科大が保有する越中島の土地には、もともと5階建て1棟と10階建て2棟の公務員宿舎が計3棟あって、周囲3方にはそれぞれ別のマンションが建っている。そこを野村不動産が再開発するという内容で、隅田川流域に面する計画地は約1万8000平方メートルもある。 突然の発表に驚いた同住民の会の椋田敏史さんは、住民を代表して野村不動産に具体的な開発内容を問い合わせた。 「そのときは『10月に担当者から連絡させます』と答えるのみでした。それが10月になっても連絡がない。11月に再度聞いてみても『行政協議中』と、具体的なことは何も教えてくれませんでした。 ただ、医科歯科大のHP上では『トータルヘルスケア』『地域との連携・交流』『いる(住む・来る)だけで健康になる街づくり』などとうたっていたので、漠然と『医療・福祉系の総合施設ができるのかな』と考えていたのです」(椋田さん)
目の前にそびえたつ高い「衝立」
今年7月末、ようやく事業計画の全貌が周辺住民に知らされることとなる。当初は5月の連休明けにわかる予定だったが、野村不動産は延期に延期を重ねていたのだ。 その中身は近隣住民が想定していたものとは残酷なほどに違っていた。なんと計画地には、定期借地権付きで19階の高層分譲マンション4棟667戸と113戸のサービス付き高齢者住宅(サ高住)、さらには商業棟が建つという。蓋を開けてみたら、巨大マンションの建設だったわけだ。前出の小川さんはこう嘆く。 「突然、大きな『衝立』が住居の目の前にできるようなものです。ギチギチに高層棟が建てられるので、私たちのマンションに風は通らなくなるし、一部の住居はプライバシーが保護されないほど建物の距離が近い。 また、地上4段の機械式駐車場が壁のように横並びになることも驚きました。向かい側に住む低層階の人は空を眺められなくなるどころか、景色すべてが機械式駐車場になってしまうのです」 当初は「地域との連携交流」とうたっていたにもかかわらず、なぜヒアリングもせずに住民が不利益を被るような計画を進めているのか。 感情を逆撫でするような事業者のやり口に住民は猛反発、8月頭に開かれた住民説明会は荒れた。3つのマンションから約150人が参加して、事業者の担当者に様々な要望や質問を行った。 「このときの対応も酷いものでした。設計会社の役員が『法令に則っているので大筋を変えるつもりはありません』と明言したんです。いわば、『もうこれで決定です』の一点張り。少しくらいお互いの妥協点を探るような姿勢を見せてもいいのではないでしょうか。 その後、『せめて14階建てにしてほしい』などいくつかの提案を記載した要望書を野村不動産に提出しましたが、回答期日までに返答はありませんでした」(小川さん)