オリックスが4連勝の貯金「10」で首位固め…強さの理由は?
続く大城滉二が確実に送りバントを成功させる。一死二、三塁とさらにチャンスが広がった場面でもう一人のヒーロー、1番・福田周平が2-0から高目に甘く入ってきたチェンジアップを強振。快音を残した打球はライトスタンドに弾んだ。 まさかフェンスを越えるとは思わなかったのか。全力でダイヤモンドを駆け抜けた身長167cm体重69kgの小兵で、バットを拳ひとつほど短く持つ28歳の福田にとっては2019年9月のロッテ戦以来となる、プロ4年目で4本目のホームランだった。 しかも山崎と福田は明治大で4年間、苦楽をともにした間柄でもある。NTT東日本をへて再びオリックスでチームメイトになった福田の値千金の一発に、山崎も言葉を弾ませた。 「今日は序盤から野手のみんなが大量点を取ってくれたので、本当に楽に投げることができました。変化球にしてもストレートにしても、ストライクゾーンにどんどん投げることができた。それが一番よかったと思っています」 2回以降の4イニングで許した走者は、大城のエラーで出塁した2回のブランドン一人だけ。直後のコーリー・スパンジェンバークをセカンドゴロでダブルプレーに仕留めた山崎は、奪った三振もひとつだけ。打たせて取るテンポのいい投球を心がけた。 ストレートの最速は144kmながら、90km台を計測したナックルカーブなどの変化球との緩急で西武打線を翻弄する。6回と7回にはさすがに計3安打を許したが、特に7回はわずか5球でチェンジとしてお役御免となった。 「やっぱりゼロに抑えたい、という強い気持ちをもっていたので、それがボールに伝わったと思います」 現時点のキャリアハイである昨年の5勝に、シーズン半ばであとひとつと迫る勝利。西武の地元、埼玉県所沢市出身の山崎は攻守におけるバックの力強い援護に加えて、オリックスが主役を演じつつあるパ・リーグの優勝戦線にも表情を綻ばせる。 最後にAクラス入りを果たしたのは「18」の貯金を作り、優勝したソフトバンクにゲーム差なしの2位でフィニッシュした2014シーズンとなる。ただ、クライマックスシリーズは3位の日本ハムに敗れて、ファーストステージで姿を消した。 2019、2020シーズンは連続最下位。迎えた今シーズンも10年連続で負け越した開幕カードがまず注目された。相手はくしくも西武。舞台も同じメットライフドームだった。リーグ最速で10敗に到達し、4月18日時点で借金は最大の「6」に膨らんだ。 だからこそ、シーズン途中からの変貌ぶりは大きな注目を集めた。エース山本のあわやパーフェクトの快投で広島に勝利し、貯金を「1」とした6月11日の交流戦後には、「1056日ぶりの」という言葉が貯金の前に添えられる形で大々的に報じられた。 10カード連続の負け越しなしはヤクルトとの交流戦2カード目から幕を開け、6月6日の中日戦からは1引き分けをはさんで11連勝をマーク。これが前身の阪急時代にマークした1984年以来、実に37年ぶりだとして再び注目を集め、連勝街道を突き進んでいた過程では2010年以来、11年ぶり2度目の交流戦優勝も勝ち取った。