先日、父が運転中に「自損事故」を起こしました。どうして「保険で修理不可」なのでしょうか?
自損事故による自身の車の損害を、カバーするための保険
自損事故を起こしたとき、自動車保険で自身の車の損害をカバーするためには、「車両保険」へ加入しておくことが必要となります。車両保険は、自身の車に補償をかける保険です。車両保険は自動車保険のオプションとして任意で付加するものなので、車両保険へ単独で加入することはできません。 車両保険は、保険会社によって呼び方に違いがありますが、一般的に「一般タイプ」と「限定タイプ」の2つのタイプがあります。 図表2
三井ダイレクト損害保険株式会社「車両保険の「タイプの違い」と「免責金額」について」より筆者作成 限定タイプより一般タイプのほうが、自損事故を含めて幅広い補償をカバーしています。保険料は限定タイプに比べて高めですが、自損事故による自身の車の損害をカバーするには、一般タイプを検討する必要があるでしょう。 ■車両保険の保険料、保険金額、免責金額 車両保険の保険料は、車種や年式、等級、契約者の年齢などの条件によって、総合的な基準で算出されます。 また、車両保険の保険金額は、車の市場販売価格相当額をもとに設定されます。市場販売価格相当額とは、補償対象の車と同じ車種や年式、仕様で同じ損耗度の車を、自動車販売店などで購入する場合の価格のことです。 保険料をなるべく抑えたい人は、免責金額を高く設定する方法もあります。免責金額は契約時に設定できる金額で、損害額に対する自己負担額のことです。 例えば、30万円の修理代がかかるケースで、10万円の免責金額を設定していた場合、修理代のうち10万円を契約者が負担して、残りの20万円が保険金として支払われることになります。免責金額を高く設定すると自己負担は増えますが、その分保険料を抑えることができます。
自損事故で自身の車を保険で修理できないケース
任意の自動車保険に加入しているからといって、自損事故が起きたときに、必ずしも自身の車を保険で修理できるわけではありません。そのような、修理代を保険でカバーできないケースには、以下のような場合が考えられます。 ・自動車保険には加入していたが、車両保険に加入していない ・車両保険には加入していたが、自損事故が補償外の「限定タイプ」 ・修理代が免責金額を下回っている また、古い車の場合は、市場販売価格相当額よりも修理代が高いと、保険会社より「全損」と判断され、市場販売価格相当額が保険金額の上限となる場合があります。 このようなケースでは、修理代を保険金で全額カバーできない可能性があるため、修理代の足りない分を自己負担するか、保険金を新車に買い替える際の足しにするなどの対処を検討することが必要となるでしょう。