〈高校サッカー〉星稜、優勝して入院中の河崎監督を卒業式で胴上げを!
2大会連続の決勝戦進出を告げる主審のホイッスルが鳴り響いた瞬間、星稜(石川県)の選手たちは勝利の喜びよりも武者震いを覚えていた。 「やっときた、という感じでした」 先制点となる前半22分のオウンゴールを誘発するクロスを送ったMF前川優太(3年)が気持ちを奮い立たせれば、同35分に貴重な追加点を決めたMF杉原啓太(3年)が胸を張って豪語する。 「自分たちにとってベスト4は通過点ですから」 後半の残り3分で2点のリードを追いつかれ、延長戦の末に富山第一(富山県)に屈してから1年。あと一歩で逃した日本一だけを目指し、リベンジの思いを込めて努力を重ねてきた星稜が、10日に埼玉スタジアムで行われた全国高校サッカー選手権準決勝で日大藤沢(神奈川県)を3対0で一蹴。同じく埼玉スタジアムで12日に行われる決勝戦へ駒を進めた。 大会名称が現状のものとなった1966年の第45回大会以降では、2大会以上で連続して決勝に進出した高校は星稜で10校目となる。藤枝東(静岡県)、浦和南(埼玉県)、帝京(東京都)、国見(長崎県)、鹿児島実業(鹿児島県)といった名門校の仲間入りを果たした背景には、3つの要因があげられる。 まずは優秀な中学生が、県外から星稜の門を叩いてくることだ。2点目を決めた杉原、左サイドからの絶妙なクロスでゴールをアシストしたFW森山泰希(3年)、ヒールを使って森山へのパスを通したMF藤島樹騎也(3年)の3人は、全員が名古屋グランパスのジュニアユース出身だ。 そろってユースへ昇格する道を閉ざされた3年前。愛知県出身の杉原と森山が地元の中京大中京へ、藤島は出身地の強豪校・四日市中央工業(三重県)への進学を考えていた。しかし、時間の経過とともに離ればなれになりたくないという思いが強まってくる。 最終的には3人で力を合わせて日本一になろう、という結論に達した。屈託のない笑顔を浮かべながら、藤島が当時を振り返る。 「こんな言い方をしていいのかなと思いますけど、正直、最後はノリで決めました。全国優勝するには、まず全国大会に出なければならない。星稜は毎年のように出場していたので、オレたちの力で優勝して星稜の歴史を変えようと誓い合ったんです」