〈高校サッカー〉星稜、優勝して入院中の河崎監督を卒業式で胴上げを!
受験する前の時点で、星稜は13年連続で全国大会切符を獲得していた。本田圭佑(ACミラン)をはじめとして、日本代表として活躍するOBを多く輩出していたことも3人の背中を押した。 しかしながら、他校の選手たちも同じことを考えている。期待に胸を躍らせながら星稜の門を叩いた3人を待っていたのは、想像をはるかに上回る競争世界だった。 入学直後に藤島が抱いた偽らざる思いが、2つ目の要因を如実に物語っている。 「レベルはそれほど高くないと思っていたんですけど……本当に厳しくて。1年生のときにベスト4、2年生のときには準優勝しましたけど、自分と(杉原)啓太は試合に出られなかった。何かを変えなきゃいけないと思いましたし、自分に何が足りないのかをコーチにも聞いて必死に個の技術を磨きました」 藤島のサイズは167cm、57kg。体格に自信を持てないがゆえに、2年生までは相手とのフィジカルコンタクトを避けるプレースタイルに終始。結果としてバランスを崩して、ボールを失うことが多かった。 「自主練習の量を増やして、筋トレや走り込みを課しました。体重は変わっていませんけど、フィジカル面は強くなったと思います。相手の選手が寄ってきたときにボールをキープできるようになったことで、プレーの幅が広がったと思います」 現時点で部員は121人を数える。コーチも9人がスタンバイしている。大所帯の中で競争を勝ち抜き、ベンチ入りを果たし、ピッチに立つためには何が必要なのか。常に自らを客観視しながらライバルたちと切磋琢磨していく環境が、星稜というチーム全体の平均値をおのずと上げていく。 日大藤沢戦で、藤島は最初の交代のカードが切られた後半23分にベンチへ下がっている。理由がわかっているからこそ、勝って兜の緒を締めよ、とばかりに反省することも忘れない。 「3点差がついたことで自分の中で安心してしまい、後半は運動量が落ちてしまった」 油断や慢心が生じれば、ライバルたちにポジションを奪われる――。チーム内に常に張り詰めている緊張感も、選手たちを成長させる源になっている。