〈高校サッカー〉星稜、優勝して入院中の河崎監督を卒業式で胴上げを!
富山第一との試合映像を、実際にピッチの上でプレーしていた前川は苦笑いしながら「一度も見直したことがない」と打ち明ける。 「最後まで気を抜くなと言われていたけど、どこかで油断していたんだと思う。いまでも鮮明に覚えていますけど、1点を取られてからはスタジアムの雰囲気に飲まれてしまった」 勝負の厳しさ、恐ろしさを悔し涙とともに味わわされてから1年。決勝戦の相手は前橋育英(群馬県)に決まった。木原監督代行が決意を新たにする。 「僕にできることは、選手たちとひとつになって戦っていくこと。彼らが力を出し切れるように、精いっぱいサポートしていきたい」 現状では河崎監督の現場復帰は厳しいと言わざるを得ない。それでも、日本一を目指して情熱の限りを注いできた指揮官の思いに、今度こそ応えたい。昨年の決勝戦後に「勝たせてあげたかったし、私自身も勝ちたかった」と漏らしたときの沈んだ表情を、はちきれんばかりの笑顔で輝かせたい。 「監督の調子がよくなったら、の話ですけど」 前川はこう断った上で、あるプランを明かしてくれた。 「優勝したら……卒業式で胴上げしたいです」 2年越しの夢を託した大一番は、午後1時35分にキックオフを迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)