厚生年金「高額受給者層」現役時代の稼ぎはいくら?シミュレーションしてみた
年金受給者にも勝ち組が!?「高額受給者」の割合
年金受給者のうち、月額30万円以上の年金を受け取っている「高額受給者」の割合は、以下のとおりです。 ・年金受給月額30万円以上の受給者数:1万2490人 ・年金受給月額30万円以上の受給者割合:0.08% 高額受給者の割合はわずか0.08%と、全受給権者の1%にも満たない人数でした。厚生年金の受給額には年収額が大きな影響をおよぼします。 高額受給者の割合が極端に少ないことから、現役時代に相当な金額の年収を稼いでいる人でないと、月額30万円以上の厚生年金を受け取れる可能性は低いと考えられます。
年金受給額はあくまで「額面」!天引きされるお金の存在
ここまでで示してきた年金受給額は、「額面」の金額です。実際は、税金や社会保険料が天引きされるため、手取り金額はさらに少なくなります。 年金から税金や社会保険料が天引きされるのは、高齢者の納付負担を軽減するためです。現在年金受給額から天引きされているお金は、以下の4つです。 ・介護保険料 ・国民年金保険料や後期高齢者医療制度の保険料 ・個人住民税 ・所得税および復興特別所得税 天引きされるお金について、一つずつ解説します。 ●介護保険料 介護保険料は、支給される年金から天引きされる場合があります。介護保険料とは、介護保険サービスを受けるために加入する「介護保険」の保険料です。 介護保険料が年金から天引きされるのは、以下の要件に当てはまる人です。 ・65歳以上 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 65歳以上で、年間18万円以上の年金を受け取っている人は、年金から介護保険料が徴収されます。 65歳から受け取れる老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金から天引きされるのも特徴です。 年金受給月額が1万5000円を超えていれば徴収対象となるため、多くの人が年金から天引きで徴収されています。 ●国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料も、年金から天引きされる可能性があります。 国民健康保険料は、会社を退職した人や自営業の人などが加入する「国民健康保険」の保険料です。 後期高齢者医療保険料は、原則75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料です。 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料は、それぞれ以下の要件に当てはまる場合に年金から天引きされます。 <国民健康保険料> ・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 <後期高齢者医療保険料> ・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 いずれも保険料の納付対象となっており、年間18万円以上年金を受給していれば、年金から保険料が天引きされます。 介護保険料と同様に、障害年金や遺族年金を受給している場合も天引きの対象です。 ●個人住民税 個人住民税も、介護保険料や国民健康保険料などと同じく、年金から天引きされるケースがあります。個人住民税は、私たちが住んでいる自治体へ納める税金です。 個人住民税が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 ・65歳以上 ・老齢もしくは退職を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 65歳で年金を年間18万円以上受け取っている場合に、個人住民税が年金から天引きされます。 介護保険料や国民健康保険料と異なり、障害年金や遺族年金からは天引きされません。 個人住民税が年金から天引きされている人は、介護保険料、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料も併せて天引きされているとおさえておきましょう。 ●所得税および復興特別所得税 所得税や復興特別所得税も、年金から天引きされる場合があります。所得税は、個人の所得に応じて課税額が決まる税金です。 復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源に充てるため、2013年から2037年まで徴収される予定の税金です。 所得税・復興特別所得税は、まとめて年金から天引きされます。天引きされる要件は、以下のとおりです。 ・65歳未満:年間の年金受給額が108万超 ・65歳以上:年間の年金受給額が158万超 65歳未満の場合は月額9万円、65歳以上の場合は月額約13万円以上の年金を受け取っていれば、住民税や社会保険料と併せて所得税が天引きされます。 なお、年間の年金受給額が65歳未満は108万円以下、65歳以上は158万円以下の場合、所得税はかかりません。