おすすめニューヨーク旅 知的・優雅・ラグジュアリーに、アートとグルメ堪能
■ティファニー本店 「アートを楽しめる空間」に
次に向かったのは5番街。ここに今、必見のラグジュアリーブランドショップがある。言わずと知れたニューヨークの顔。1837年に創業し、1940年に現在の地に店を構えたティファニー本店だ。2023年4月の全面改装で、建築家ピーター・マリノ氏デザインによるモダンな店「ランドマーク」へと生まれ変わった。ここを訪れる楽しみは、めくるめくジュエリーの品定めだけではない。館内の10のフロアに飾られた、ティファニーが保有する約40点のアート作品を堪能できる、珍しいブティックなのだ。 1階の壁面には巨大なスクリーン「ビデオウオール」が埋め込まれ、季節ごとに変化するマンハッタンの風景を映し出す。エレベーターホールにはバスキアの絵画、らせん階段の中央にはダニエル・アーシャムが手掛けた銅像が据えられ、プライベートサロンの壁紙はダミアン・ハースト作「アップル・ブロッサム」。未公開作品を含む優れたアートと、歴史を彩ったティファニーの傑作ジュエリーが売り場で融合しているさまは圧巻だ。品ぞろえのテーマが定められた各フロアは、それぞれに什器(じゅうき)のシルエットや照明、内装が異なり、館内を巡りながら次々と変わる景色を味わうのも楽しい。 もし6階の「ブルーボックスカフェ」が予約できたなら、ティファニーブルーを基調としたインテリアに囲まれて人気のアフタヌーンティーを味わいたい。この階にはテーブルウエアコレクションが豊富にそろっており、「思い出の品」を探すのにも重宝する。
■MoMA、The Metでアート三昧 グルメの穴場も
ティファニー本店を出たら、ジュエリーやハイブランドのブティックを横目に眺めながら、街を代表するアートスポットであるニューヨーク近代美術館(MoMA)へと足を延ばそう。2019年に490億円をかけて大規模な改装を施したMoMAは、過去150年にわたる約20万点の作品を所蔵する名画の宝庫だ。 セザンヌ、ゴッホ、ピカソ、ゴーギャンといったヨーロッパの絵画、ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホルら米国の近現代アートが一堂に集まり、短時間であっても満足度の高い鑑賞体験ができる。しかも改装後は展示スペースを3割も広げ、導線を見直し、居心地がグッと良くなったと高い評価を得ている。ぜひ、そのアートに囲まれた快適空間を味わってみたい。 この美術館はクロード・モネの「睡蓮(スイレン)」の部屋、シュルレアリスム作品を集めた部屋、米国抽象主義アートを展示する部屋といった具合に、テーマ設定をした部屋のキュレーションが見事。疲れたら、数多く設置されたソファやカフェで休むといい。 アート&カルチャーで忘れてはならないのは、ルーブル、エルミタージュと並ぶ世界3大美術館、メトロポリタン美術館(The Met)だ。世界最大級となる300万点もの貴重な作品は、古代から現代まであらゆる年代にわたる絵画、彫刻、工芸、装飾品と幅広い。 もちろん、重厚な雰囲気の館内に並ぶこれらのコレクションが最大の見どころではあるけれど、The Metの魅力はそれだけではない。ラグジュアリーな旅のひとときを求める方にあえて堪能してほしいのは、夜の美術館、そして食の体験だ。 金曜日と土曜日の夜、The METは「Date Night」と称して開館時間を21時まで延長している。昼間とは異なる館内のライティングにより、展示物の表情やフロアの雰囲気がひと味違ったものとなる。そして日が落ちると館内の一角からギターやピアノの生演奏が聞こえてくる。そのスペースは2019年にオープンした「グレートホール バルコニーカフェ」。エントランスに近い2階部分にあり、正面玄関の1階ホールや壁面の展示を眺めながら食事やカクテルを楽しめる。情緒豊かな時間を過ごせるおしゃれな空間だ。 もう1つ、来館者でにぎわっている食の空間が4階の「ザ・メット ダイニングルーム」。実はこのレストラン、元々は年会費を支払うVIP会員のための施設だったが、2018年に一般に開放された。一皿一皿こだわり抜いた料理がグルメ注目の的で、館内の奥まった場所にある、ちょっと行きにくいロケーションゆえに大人たちの穴場といわれている。