そんな設備で大丈夫なのか? ルーマニアの地方都市・ティミショアラはトロリーバス天下……だけれども!?
■エネルギーや経済的な危機
しかし2000年代中ごろになると、再び車両不足に陥ることになる。1990年代中頃から、西欧で使われていた中古車を多く譲り受けて使っていたが、これらが寿命を迎えて置き換えが必要となった。 しかも中古車は車種・形式ともバラバラだったため、メンテナンスをすることも大変だった。一部の路線は、ディーゼルエンジン車で代替することになり、メルセデス・ベンツの東欧市場向け車種(低床ではない廉価仕様)であるコネクトが大量投入され、車両不足に悩むトロリーバスを次々と置き換えた。 2008年からイリスブス/シュコダ24Trが50両導入され、これが現行車両として現在も使われている。なおイリスブスは、1999年に伊イヴェコと仏ルノーバスが合併して誕生したメーカーだが、2013年にイリスブスの名前は消え、現在は再びイヴェコブスへと変わっている。 この新型車両には補助ディーゼルエンジンが搭載されているので、工事などによる無架線地帯や、停電が発生した場合にも動かすことが可能となっている。
■インフラ整備が喫緊の課題か?
ただ実際に走っているところを見ていると、2本の架線が歪んで接触しそうな区間があったりして、よく短絡事故が起きないものだとヒヤヒヤする。 ルーマニアは全体として、西欧・中欧諸国と比較してインフラがかなり貧弱で、町の中心部以外は架線のみならず道路もガタガタだ。 貧弱なインフラの影響もあるのか、車両の状態はあまり良いとは言えず、現時点で41両のみが稼働し、9両はすでに運用から退いている。新型車両25両の入札を行うという話もあるので、近い将来には一部が置き換わっているかもしれない。 ただ、新車よりも先に、まずはインフラの整備が先ではないか?そう思わずにはいられないほど、深刻な状況と思えた。