機能を失った災害拠点病院 8億5000万円かけて水害対策 多額の費用負担など課題も
RKB毎日放送
災害時に傷病者を受け入れる拠点となるのが、災害拠点病院です。 しかし、その災害拠点病院自体が被災してしまったら・・・。 【写真で見る】災害対策をどうしていくのが課題 災害拠点病院 福岡県では、記録的な大雨で機能の多くを失い、外来の受け入れを8日間停止した病院が、8億円以上をかけて防水壁や排水ポンプなどを整備しました。 国の補助は一部にとどまっており、今後、災害対策をどうしていくのが課題も露呈しています。 ■床上30センチまで浸水 医療機器が水没 福岡県久留米市田主丸町にある田主丸中央病院は、24時間365日、患者を受け入れる救急指定病院で、おととし、災害拠点病院に指定されました。 県内で指定されている33病院のうちのひとつです。 しかし去年7月の記録的な大雨では、耳納連山から流れてきた雨水がJR久大線の土手でせき止められて、病院の1階が床上30センチまで浸水。 1階にいた約50人の患者はスタッフが2階に避難させて無事でしたが、医療機器は水没し、使えなくなってしまいました。 ■院長「拠点病院の働きできず忸怩たる思い」 田主丸中央病院 鬼塚一郎 院長「予想を上回るような水量だったので太刀打ちできなかったCT、MRIをはじめとする高額医用機器がほとんど使えない。外来機能が8日間停止して、入院患者も300人弱いたが、周りの病院に受け入れてもらうとか200人まで減らさざるを得ませんでした。竹野地区で土砂災害が起こって、亡くなった方もいらっしゃったんですけど、自分のところの被害に対応するのが精一杯で、災害拠点病院たる働きができなかった。もどかしというか、忸怩たる思いでした。」 ■完全復旧までに5か月 のべ700人のボランティアの協力もあり、被災から8日後に外来診療の受け入れを再開できたものの、被災前のような医療提供体制に戻るまでには約5か月かかったということです。 ■コンクリート製の防水壁 赤外線カメラ RKB 三浦良介記者「浸水対策として、病院の周りを取り囲むように高さ1.6メートルの防水壁が整備されました。去年7月の記録的大雨では、この色の違うブロックのあたりまで水につかったということです。」