小学4年のとき、強い眠気に襲われ… 自身の異変に気づき、その後判明した病 周囲に理解されない苦しみと向き合う男性に迫る
不眠症専門サロンの仕事に就くことに…
今でこそテレビ番組などで取り上げられるようになり、少しずつ知られてきたナルコレプシーですが、川崎さんが発症した当時は、インターネットで調べても患者会のホームページが出てくる程度で、まったく認知はされていなかったといいます。 川崎さんは、起きていたくても起きていられない症状に対して、最初は病院で薬を処方してもらっていました。しかし、副作用で頭が痛くなるので薬の服用をやめてしまい、高校3年生まで飲まずに過ごしていました。寝てしまうことへの対処法はあまりなく、根性で起きていたといいます。 たとえば、皮膚をボールペンで刺したり、頬に薬品ローションを塗ったりして、起きていられそうだと思うことをずっと試すのです。自分に刺激を与えることで起きていられるように努力をしていました。 ナルコレプシー1型という診断によって、生活自体は特に変わりなく送ることができましたが、大学受験のときに自分が勉強したいと思っているのに寝てしまい、勉強ができないというところに悩み始めたといいます。 「やりたいことや取り組みたいことがあるのに、眠気によって邪魔をされてしまうことへの悩みは大きかった」と語ります。 その後就職し、初めは病院で働いていた川崎さん。 それには「病院だから病気のことを勉強しているし、自分に対しても理解してほしい」という思いもありました。しかしうまくはいかず、あまり理解してもらえないということに負の感情を抱えたこともありました。 そこで転職をしますが、転職先では仕事の途中で寝てしまう川崎さんに文句を言うスタッフがいました…。川崎さんは「スタッフの気持ちを考えたら、それも確かにそうだな…」と客観視できるようになったことに気づきます。そのころには俯瞰して自分を見られるようになっていました。 最終的には「やることをやりきっていれば文句は言われないじゃん」と思えるようになります。そして人間関係に関してはうまくやっていくしかないと考えていた…と当時のことを思い出しながら語ってくれました。 ナルコレプシーであることを理解してくれているご家族や友達は、川崎さんが寝そうになっていると起こしてくれたり「ちょっと寝たら」と声をかけてくれたりしました。また、悩んだときのつらい気持ちにも寄り添ってくれたのです。しかし「逆に言えば、そういったサポートしかできないのです」と話します。 ナルコレプシーの病による睡眠は夜中に眠くなる睡眠とは異なり、我慢できない睡眠なのです。そのため、思考も止まってしまいます。仕事中の場合は、起きたい感情が強いからこそ、手は動いている…と川崎さん。でも脳は寝ている状態。何を会話したかなどは覚えていないほど強い眠気に襲われるといいます。 早くて2~3分でスッキリして起きることもあり、遅いと30分~40分寝ていることもあります。だいたい平均10~15分くらい寝たらスッキリすると症状について話してくれました。 川崎さんは現在、不眠症専門サロンで働いています。 中学生のときにナルコレプシーの診断を受けて、それから睡眠に興味を持ち始めました。また、進学した大学が医療系だったため、睡眠についての論文・資料を読み漁ります。そのため、睡眠についての情報を知りすぎて、主治医の先生に「君はそこらへんのお医者さんより詳しいから、病院(うち)に来たとしてももう知ることないでしょ」と言われたことが、不眠症専門サロンの仕事に就くきっかけとなりました。 「それくらい詳しくなれているのだったら、逆に自分がサポートできることもあるのかな」 と考えられるようになったといいます。 不眠症専門サロンでは、理学療法士としてお客さんが笑ってくれて、悩みを改善できたときにやりがいを感じると話します。 「眠れるようになったこと、施術やサービスが気持ちよかったと言ってもらえること、膝・腰が痛いという悩みをもって来院し、それが解決したときにやりがいを感じます。 同じ悩みを持つ方の悩みを解消できることがそこにつながるのかなと思います」