小学4年のとき、強い眠気に襲われ… 自身の異変に気づき、その後判明した病 周囲に理解されない苦しみと向き合う男性に迫る
ナルコレプシー当事者と当事者ではない人に伝えたいこと
現在、個人事業主として従業員も抱えて仕事をしている川崎さん。そのため、自身が眠くなるリスクを抱えて現場に立つことはなくしていきたいと考えており、これは病気との付き合い方のうちの1つでもあると話します。 「寝ても支障がないよう、環境をなるべく若いうちに整えていくことで病気をうまくコントロールしていきたい」と。 また睡眠に関する教育を進めていくために小学校で講座を開いており、そこでは「小学生のころから睡眠が大切だ」ということを川崎さんは伝えています。 周りにナルコレプシーなどの病を抱える人がいない限り、実際に自分が困ることや本当の意味で理解をすることには繋がらないと考えています。最近は小学生がYouTubeを見てなかなか寝ないということが教育現場において問題にもなっているため、そういったところを教員とは別の視点で話していきたいという思いがあります。講座では、真面目に聞いてくれる小学生もいたと話していました。 川崎さんは、ナルコレプシーの当事者として本を出版しています。さらに、ナルコレプシーという病気があることを発信し、病気自体の認知を広げる動きをしていきたいのが今後の目標でもあります。 「勉強もたくさんしてきたからこそ、自分が誰かの参考になれる部分は多いと思う」といいますが、現在の川崎さんは仕事で精一杯になっており、発信にはそこまで手が回らなくなっているのも事実です。 そこで以前、川崎さんが「ナルコ会」という患者会の理事をやっていたことや、本を出すための情報発信をしていた時期に知り合った同じ症状を抱える仲間たちと「今こういう動きがあるから協力してとか、厚労省にお願いしに行くための動きをしているんだ」などの情報交換をしています。 川崎さんにとって、仲間の頑張っている姿は自分も頑張ろうと思える大切な存在です。中には過眠症の人もいるため、今後はその人たちと協力し合いながら、できる範囲で発信をしていけたら…と考えています。 また川崎さんには、ナルコレプシーの当事者と当事者ではない人に向けてそれぞれ伝えたいことがあります。 当事者ではない人に伝えたいことは「当事者ではない人からすると、ナルコレプシーの方はさぼっているように見えてしまうかも知れません。しかし、明らかにたくさん寝ていたら異常なんじゃないか?って思うでしょう。そのような人がいたら、さぼっていると思う前に『とりあえず病院行ってみたら?』と嫌味などは抜きにして、シンプルに心配する気持ちで言葉をかけてあげられるような優しさを持ってくれたらいいのかな」ということです。 ナルコレプシーの当事者の方には「厳しめの言い方かもしれませんが、病気になってしまったことは仕方ないと思います。そこで、自分ができることを増やしたり、動ける時間を管理したりして、何ができるのか明確にし『働く・どこかに雇用される』『自分で何かする』動きをしなければならない」ということを伝えたいといいます。 また「行動自体は何でもいいんです。病気が辛いのは自分もそうだからわかります。しかし、その上で何をするのかを頑張っていかないと、病気を言い訳にしているとしか思われないのが現実。厳しいかもしれないけれど『できることって何なんだろう』を考えながら日々を生きるしかないのかな」と。当事者ではない人、当事者として悩んでいる人、それぞれへの大切な思いを語ってくれました。 仕事中などに突然寝てしまう人がいたら、怠けている、さぼっているだけと思うかもしれません。しかし、もしかしたらナルコレプシーなどの病を抱えていることも考えられます。また、もしも自分に制御できない眠気が起こったとしても、ナルコレプシーという病気を知らなければ、自分自身で悩みを抱えてしまうかもしれません。 そうした方に出会ったら、まずは「とりあえず病院に行ってみたら?」などの優しい言葉をかけることが必要なのではないでしょうか。
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