相鉄かしわ台駅、地元民もあまり知らない「裏側」運転士・車掌が所属する乗務所に信号所、社員食堂の内部は?
■プロが詰める「秘密基地」 そうしたバラエティーに富んだ電車を、本線と留置線で出入りさせているのが、かしわ台駅の信号所だ。かしわ台駅長を務める海老名管区の森脇隆治管区長は「かしわ台では車両センターや乗務所、駅の信号所が連携しながら元気な電車を送り出してます」と語る。 「信号兼操車係というのはウチの駅にしかいません。彼らプロ集団が詰めている信号所は秘密基地のようで雰囲気が好きだな、と思っています」 かしわ台でほかに好きな場所は? と森脇管区長に聞いてみると「社員食堂のラーメンは、リーズナブルでラーメン好きの私も気に入る素朴な味わいですね」という答えが返ってきた。その社員食堂は乗務所に隣接する建物で営業している。
運営するシダックスコントラクトフードサービスの宮原邦好さんは「乗務員のみなさんは食事を取る時間がバラバラなので、昼休みに集中しやすい一般的な企業の食堂とは違います」と話す。同社では企業や病院、大学のキャンパスなどで1900店舗を手がけているという。相鉄では技術系の職場がある上星川にも食堂がある。 ■社員食堂の人気メニューは? シダックスの広報室課長、山下浩志さんは「定番のほかに日替わりメニューを用意して、仕事の合間の楽しみというか、リラックスしてもらえる空間になるよう目指しています。厨房内でもラジオで運行情報を把握していて、イレギュラーなことが起きても臨機応変に対応し、食事を切らさないように気を付けているのは鉄道会社の社員食堂ならではの特徴です」と説明する。
山下さんは「メニューは、食べたいものばかりではなく、従業員の皆さまの健康を支えるためにバランスに配慮しています」というが、店長の前原章二さんによると人気はやはりラーメン。「私は中華料理出身で得意なもんで、スープをしっかりガラからとる作り方は町のラーメン屋さんと同じです。とくに木曜日に出す『特選麺』は大人気。麺の大盛には『メガ』『ギガ』の上にすり鉢を器にした『バチ』がありまして、1~2週間に1回ずつくらいは出るでしょうか」と語る。
【写真の続き】乗務所の裏にひっそりと建つ「かしわ台社員食堂」が乗務員らの仕事と健康を支える。2種類のランチに麺類やカレー……食べてみたいメニューは? 電車を安全に動かすのに欠かせない運転士や車掌、駅の信号係、車両メンテナンスの仕事――ほかにも挙げればキリがない。そうした現場で働く人のエネルギーの源である食堂まで、かしわ台駅の周辺ではさまざまなプロフェッショナルがそれぞれの持ち場を守っている、と言えそうだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者