「もしかして発達障害かも」と気づいた、わが子が【嫌がった遊び】とは? 診断後に治療へ進むものの、投薬への葛藤も【児童精神科医からのアドバイスつき】
親も治療に加わるペアレント・トレーニングに参加
実際のペアレント・トレーニングには6~8人が参加して、親同士ペアになって進められました。 「子どもの言っていることをおうむ返しにしてみたり、『すみれちゃんがスイカを食べています』と実況中継をしたりして、子どもに『ママはあなたに注目しているよ』と実感させるのです。熱心なお母さんもいらしたのですが、私は、『こんなこと本当に効果があるのかな』という不安を感じ、引いてしまいました。でも、1~2ヶ月、週に1回、わりときちんと通いましたし、勉強にもなりました。」 ひろみさんは、ペアレント・トレーニングで学んだことを実際に家でもやってみました。その時すみれちゃんは2年生でしたが、実況中継をすると、「ママ、ちょっとうるさいよ」と言われることもあったそうです。ひろみさんは、「これは、もう少し年下の子向けではないか」と感じました。 「怒るまで5秒待てと教えてもらいましたが、実際の現場では、5秒も待てません。わーっと怒ってしまう。ですから、教えてもらったことを全て実行していたかというと、そうではありません。できないこともありました。」 一方、強迫性障害は、こだわるものが年齢と共に変わっていきました。小1の時は頻繁に手洗いをしていましたが、次第に机の汚れを気にするようになり、3、4年になるとかさぶたを気にするようになったそうです。今は小6ですが、爪が伸びる時になるようで深爪になっているといいます。
何もかもうまくいかない
ひろみさんは、仲の良い友人にもすみれちゃんのことを相談しました。その人は美容や健康に詳しく、ひろみさんも信頼していました。 「すみれのことを心配してくれて、『そんな小さいのに早くから薬を飲んじゃだめだよ』とか、『食事を変えたら治るよ』とアドバイスしてくれました。小麦粉を使ったパンを食べるのをやめて米粉パンを食べろとか、醤油はどこそこの大豆を使ったものがいいとか言われたので、もったいないと思ったけど、使っていた醤油を捨てておすすめのものに変えました。パンも好きだけど3日に1度にしたり、お菓子もだめだと言われたのであげなかったりしました。病院でもらっていた薬も飲んでも飲まなくても同じだから、『すみれちゃん、3日に1度にしよう』とか、勝手に減らしたのです。でも、それを機に地獄の日々が始まりました。何もかもうまくいかなくなり、育てづらいってこういうことなんだと実感しました。」 すみれちゃんは朝起きられないので、ひろみさんが布団から引っ張り出して学校に行かせる日々が続いていました。毎日のように遅刻が続き、ひろみさんが先生から怒られる。宿題はやらない、弟とは喧嘩する、手洗いが止まらない。情緒の安定のためにいいと言われている演技を習わせても逃げ出してしまう。 「すみれのためにいいと思ってしたことが全部裏目に出て、あんな高い月謝を払ったのに逃げ出す!?と怒りも湧いてくるし、全て!24時間生活の全てがだめでした。」