島根原発2号機、停止13年で運転員6割が未経験…昨年度は168日間シミュレーション
7日に再稼働した中国電力島根原子力発電所2号機(松江市)の運転停止期間は約13年に及んだ。この間、運転員は定年などで入れ替わり、約6割が運転未経験者だ。中国電はシミュレーターの活用やOBによる指導などで技術の維持に取り組んできた。
「3、2、1」――。7日午後3時前、2号機の中央制御室。OB運転員らが見守る中、運転員11人が館内放送のカウントダウンに合わせ、制御棒を引き抜くボタンを押すなどして原子炉を起動させた。
現在、64人いる2号機の運転員のうち39人が運転を経験していない。この日も11人のうち7人が運転未経験者だった。
運転停止が長期化する中、中国電は円滑な再稼働に向け、準備を進めてきた。
訓練は主に2号機の中央制御室を再現した島根原発内の運転シミュレーター施設で実施。参加者の組み合わせを変えるなどし、昨年度は計168日間行った。
中国電の担当者は「運転員は運転に必要な知識や技能を十分に身に付けている」と成果を強調する。一方で、機器が放つ熱や振動、音などから異変や異常を察知する力については「運転経験者でないとわからない体感的なものもある」と話す。
このため、電力各社などでつくる「原子力安全推進協会」(JANSI)が長期停止する原発の作業員を対象に実施する、運転中のプラントでノウハウを学ぶ「実機体感研修」を活用。2017~23年、関西電力高浜、大飯両原発(いずれも福井県)に運転員を派遣し、現地での点検作業に参加してきた。
中国電はOBの力も活用する。ベテランOBをシミュレーター施設での訓練に招き、運転員への助言を得たほか、再稼働後はサポート役として当直のメンバーに入ってもらう考えだ。