「“ただドラマをやる人”で終わっちゃうと思った」朝ドラ出演の57歳俳優が芸人活動を再開したワケ
NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』で、高橋克実さんとともに弁護士の杉田兄弟役を演じた田口浩正さん。個性派俳優として活躍する一方で、今年に入り小浦一優さん(芋洗坂係長)とのお笑いコンビ「テンション」の活動を30年ぶりに再開し、話題となった。 【画像】小浦一優さん(芋洗坂係長)とのお笑いコンビを30年ぶりに再開した田口浩正さん 2025年1月には東京、2月には2人の地元福岡での新作ライブ「テンションライブ VOL.7 ワルアガキ」を開催することも決定している。 前編では、コンビ結成の経緯、1990年前後のネタ番組やダウンタウンが東京に進出した影響など、主に活動休止前のエピソードについて語ってもらった。 後編では、活動休止に至った理由、「R-1ぐらんぷり2008」で準優勝した芋洗坂係長にまつわる話、自身のターニングポイント、改めて「小浦さんはどんな存在か」など、“表現者・田口浩正”の核心に迫る――。
活動休止は「今思えば僕が若かった」
――1989年にコンビを結成して約4年で活動を休止。この話はどちらから切り出したんですか? 田口浩正さん(以下、田口):僕からです。もともと僕には「喜劇役者をやりたい」って原点があったし、「映画を撮りたい」って気持ちもあって。その後、実際にテレビドラマとか映画を撮ることができたので、一応素直に自分がやりたいと思ったことはやらせていただけたんですよね。 とはいえ、今思えば僕が若かったんだと思います。自分の中で何かが旬になると、「そっちに力を注がないとダメ」となって「ちょっと休もうぜ」って言っちゃうタイプだったんです。それに、芝居の方向に舵を切りながらテンションのライブを年1回やれるかと言われたら、「それはちょっとキツいぞ」と思ってたというか。 ――小浦さんはそれをすぐに受け入れたんですか? 田口:受け入れましたね。俺の歩み方を見ていて、何となく空気を感じとったんだと思います。当時の本当の気持ちは俺も聞けないから、今回のライブでVTRを流そうと思って、「どう思ってたか撮っといて」ってスタッフに伝えたんですよ。相方は芋洗坂係長で出てくるまでに何年も掛かってるし、僕も空白の何年間の思いを知りたかったので。 「『偉そうに役者面しやがって』と思ってた」とかボロカスに言ってくれたら助かるなと思いつつ、やっぱちょっと気になるから、「あいつ、どんな感じだった?」って周りに探りを入れてみたんです。そしたら、「ぜんぜん納得してた」みたいなことを言ってたらしくて(笑)。「その映像、ライブで使えないじゃん」と思いましたけど。