温泉賢者が選ぶ“雪見の宿”【鶴の湯|秋田・乳頭温泉郷】4つの源泉をもつ昔ながらの名宿
日本の宝である「温泉」を中心に、季節を映し出し、土地の美味でもてなし、心身のくつろぎをもたらしてくれる温泉宿は、日本最高の贅沢のひとつと言ってもいいでしょう。今回は、温泉を愛し、豊富な温泉体験をもつ"温泉賢者"の方々に、本当に推薦したい温泉宿を教えていただきました。 今回は「雪見の宿」部門から。冬に赴く温泉の楽しみのひとつに雪景色があります。厳しい寒さの中で浸かる湯は、普段以上に至福の心地ではないでしょうか。深い雪の中に建つ昔ながらの名宿、秋田・乳頭温泉郷にある「鶴の湯(つるのゆ)」をご紹介します。
[雪見の宿]部門|鶴の湯[秋田・乳頭温泉郷]
推薦者:石井宏子さん(温泉ビューティ研究家)、岩佐十良さん(クリエイティブディレクター)、坪田三千代さん(トラベルライター)、松田忠徳さん(温泉学教授)、須田秀子(婦人画報 コントリビューティング エディター) ・国内外の温泉ファンを虜にしてきた乳白色の露天風呂。雪見風呂は一度は経験したいもの ─松田忠徳さん ・源泉がぷくぷくと湧き上がる「自然湧出」の温泉。地球から生まれたての温泉に浸れる喜びを嚙みしめます─石井宏子さん 秋田県仙北市の山中を進んだ先に、古くから湯治場として親しまれてきた温泉郷、乳頭温泉があります。硫黄の濃い香りに誘われて宿に到着すると、あたりは一面銀世界。「鶴の湯」は、1688年にはすでに営業を行っていたという記録が残る歴史ある温泉宿。建物のなかには江戸時代から残るといわれるものもあり、秘湯と呼ぶにふさわしい趣があります。敷地内には4つの源泉が湧き出し、効能も泉質もそれぞれに異なるということからも、いかに特異な土地であるかがわかります。 <写真>乳白色の混浴露天風呂。こちらの源泉は別名“美人の湯”と呼ばれ、肌がつるつるに。硫黄の香りが濃いものの、肌当たりはやわらかい。
名物は含硫黄-炭酸水素塩泉の混浴露天風呂。山々を眺めながら、白濁した湯に浸かる時間はまさに格別。 「四季折々の自然と一体になる湯浴みが最大の魅力でしょう。なかでも深い雪に覆われた混浴の大露天風呂や、女性専用露天風呂の硫黄泉に浸かりながら楽しむ雪景色は、一生に一度は見てみたいもの。夜は満天の星に遭遇することもあります」と松田さんも太鼓判を押します。