手探りの万博準備 「頂上」みえるところまできた 石毛博行・日本国際博覧会協会事務総長 あの日から⑤
重要な〝スポンサー〟である地元財界からも厳しい指摘を受けることもあったが、話し合いを重ね、万博成功に向けて万博協会と政財界は一枚岩になれたといえる。
日本での大規模な万博は1970年の大阪、2005年の愛知があるが、継続して関わり、ノウハウを持っている人もいない。「全てが手探りだった。それをさまざまなステークホルダーと相談し、考えながら進めてきた」と振り返る。
開幕1年前となった24年4月のインタビューに「これからさまざまな課題が具体化し、山登りに例えると急峻(きゅうしゅん)なコースに入ってくる」と答えた。実際、同年は海外パビリオンの準備の遅れが顕著となり、さらに国内情勢により撤退する国もあって対応に心を砕いた。
年が明け、万博は4月13日に開幕を迎える。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、国内の万博で過去最多の約160カ国・地域が参加。半年の会期中、世界中から計約2820万人が来場する想定だ。
「万博はかなり頂上が見えるところまできた。いつの時代も万博は世界を見せ、未来を見せるものだ。コロナ禍や世界の分断の深刻さを経験した今の時代に、日本が主催して行うことは大きな意義がある」(井上浩平)