ローマ法王に初めて「そうめん」を献上した日本人 三輪そうめんの社長はどのようにして謁見できたのか
転機はトランス脂肪酸への着目から
『マル勝高田商店』を代表する商品「三輪の神糸」について高田社長は、「最大の特徴は、原料へのこだわりと強いコシを実現していることです。」と話す。 「コシが出るように、季節に合わせて配合を変えた2種のオリジナルブレンドの小麦粉を使っています。手延べそうめんを作る際には、麺同士がくっつかないように、そして乾かないように油を使います。多くの場合は綿実油を使用しますが、当社ではイタリア直送のこだわりのオリーブオイルを使っています。三輪地区はいわゆる『ひねもの』と呼ばれる、そうめんを熟成するケースが多数派です。綿実油の場合、長期保存しているうちに油が酸化したにおいが発生しがちです。オリーブオイルを使うことにより、このにおいを防ぐことができました」 『マル勝高田商店』が手延べの際にオリーブオイルを使うようになったのは、およそ20年前。油脂に含まれるトランス脂肪酸により心臓疾患などのリスクが高まるとして注目されたことから。 高田社長はイタリアに飛び、オリーブオイルについて知っていくうちにこだわりが加速した。現在では原材料として使用しているエキストラバージンオリーブオイルやワイン、ハチミツなどのイタリア食材を現地生産者と独占販売契約を結び輸入品を扱う、別会社を作るほどの関係性を築いた。 「イタリアでさまざまなご縁を得て、現地のイベントでそうめんを振る舞っていました。その際に通訳をしてくださった方が偶然オリーブオイルの鑑定士で、様々な繋がりでこれらの機会に恵まれました」 イタリアではオリーブは平和の象徴。オリーブオイルに着目したことからこれほどまでにたくさんの好循環が生まれた。
「第5回 The 乾麺グランプリ2024 in TOKYO」素麺部門受賞
ライターの私が『マル勝高田商店』の主力商品である三輪そうめん「三輪の神糸」を知ったのは比較的最近のこと。 2024年5月に東京・新宿で行われた「第5回 The 乾麺グランプリ2024 in TOKYO」 の素麺部門の部門賞に輝いていたからだ。 主に商品展開をしているのは近畿圏で、関西2府4県のセブン-イレブンのお弁当のそうめんに採用されている。今年からはパッケージに「『三輪の神糸』使用」の旨が記載されているのだそう。 その他のエリアでは西友やOKストアなどで取り扱っているという。東京の筆者の生活エリアに左記の2軒はないが、地元のスーパー「サミット」でも見かけた。 早速いただいてみると、確かににおいがないので、繊細な出汁の香りがわかりやすい。クセもないから、いろいろなお料理にもアレンジしやすい。コシがあるのでにゅうめんなどにしてもくたっとしづらいのが特長だ。 「三輪の神糸」は茹で時間が2分。そうめんをいただくのは夏場が多いのであまり気にしていなかったが、茹で時間が短いそうめんって改めて本当に手軽。個人的には茹で時間はもう少し短くしたいと思ったが。