子育てマンガのアイデアは「保育園の連絡帳から」 テレ東局員で漫画家・真船佳奈が“育児”を描く理由
■育児漫画を通して、世の中を生きやすくしたい ――ご自身の記録として育児漫画を描かれているわけではないんですね。 家族の記録を見てほしいというより、漫画は私にとってほかのママさんや、読者の方と繋がりあえる手段です。 出産したのがコロナ禍ということもあって、出産前後はすごく孤独でした。お母さんになった瞬間に、「弱音を吐いちゃいけない」とか、「完璧な人間でいなきゃいけない」みたいなムーブメントが蔓延している気がして。 でも、私には漫画という表現手段があります。漫画を通して「子どもって実はこうなんですよ」とか、「お母さんも全然完璧じゃないんですよ」ということを知ってもらうことで、もしかしたらちょっとだけ生きやすくなるところもあるんじゃないかと思って描いています。 デビュー作の『オンエアできない~』は、私の“ポンコツAD”時代の話を描いていたので、読者の方たちの「テレビ業界の変な人たちを見てみたい」という好奇心を満たす内容が多かったと思います。 育児漫画を描くようになってからは、「共感しました」という感想がものすごく増えました。「困った、つらい」ことを私が漫画に描くことで、読者の方がたまに愚痴を言ったり、「こういうことを思ってもいいんだ」って思ってもらえたりしたらうれしいです。 ――『たよスマ』の帯に、漫画家の東村アキコ先生が「爆笑&号泣!」とコメントを寄せているように、読者の方が育児の大変さに共感する「号泣」部分はもちろん、少年漫画のパロディが多用されるなど、思わず笑ってしまうシーンも盛りだくさんです。漫画を描く上で意識していることはありますか? 『オンエアできない~』で描いているように、私は本当にポンコツなADだったので、めちゃくちゃ怒られることが多かったんです。それ以前も、とにかく怒られることが多い人生で、自虐ネタで笑わないとやっていけないというか……(苦笑)。怒られているときに、自分を俯瞰して見てみると、だいたい笑える状況なんです。上司はすごく怒っているけれど、私はふざけたペンギンの絵が描かれたTシャツを着ていたとか。