再生工事をすれば何十年と住める? 安心して“古民家暮らし”を始める方法
古民家再生の実例を見てみよう!
再生する古民家の規模が大きければ工事費も高くなります。なかには1億円になるケースも。今回紹介するのはあくまで一例で、再生する際に規模を小さくすることで金額を抑えることもできます。古民家の状態によっては少しの手直しで済む場合もありますよ。 【Case1】 場所:茨城県 工事費:3,400万円(税別) 工事期間:約8カ月 築約100年の古民家を現地再生しました。建築主は30代のご夫婦。2人の息子さんと4人暮らしです。壁が少ないという古民家の特徴を活かし、家族が集まれる大きな部屋や、部屋を見渡せるキッチンなどを設置。外観は古民家のよさを活かすため、建築当初の姿に戻すことに。増築された箇所を撤去して、耐震性を高める工事を行ないました。 【Case2】 場所:宮城県 工事費:2,400万円(税別) 工事期間:約5カ月 建築主は仙台市にお住まいでしたが、退職後に田舎暮らしを望まれ、相談時には移転先の土地を入手されていました。たまたま別の市に、古い倉庫を解体する人がいたため、解体費用を負担し、古材を無償でゆずり受けることに。 柱などの傷みが激しいものは新材と交換し、古色仕上げを施して、古材との風合いのバランスを損なわないように移築再生しました。 【Case3】 場所:宮城県 工事費:2,200万円(税別) 工事期間:約5カ月 秋田県にあった築100年以上の蔵を宮城県に移築再生しました。2階建ての蔵で、1階部分は居住空間でしたが、2階は貯蔵空間で、人の住める環境ではありませんでした。耐震性や暖房設備など、現代技術を取り入れ、住居として再生。玄関も蔵の扉をそのまま利用するなど、古材のよさを活かした設計で、エコを感じられる家になりました。 【Case4】 場所:埼玉県 工事費:4,000万円(税別) 工事期間:約7カ月 山形県で17代続いた旧商家の文庫蔵の解体部材をゆずり受けて、埼玉県に移築再生しました。1階をフレンチレストラン、2階をギャラリースペースにしています。懐かしさを感じられるレストランでの食事や、屋根を支える大きな梁を間近で見られるギャラリーでの作品展や落語会を通して、地域活性化の拠点となっています。 古民家再生の事例は『民家再生の実例 全国事例50選』(2009年発行)、『よみがえる蔵 全国再生事例44選』(2012年発行)〈いずれも日本民家再生協会編〉より引用。工事費などは当時のもの。
松井英子(一級建築士)