アルマーニの知られざる6の真価とは?
アルマーニの真価④【映画界との蜜月とマーケターとしての才覚】
アルマーニを語る上で、映画界や数々のスターとの深い関わりは欠かせない。幼少期を映画とともに過ごしたアルマーニ氏は、“映画監督”という夢を持っていた。映画ではなくファッションの道を歩むこととなったアルマーニ氏だが、衣装デザイナーとして映画界での存在感を放つように。そのなかでも、1980年に公開された「アメリカン・ジゴロ」が代表的な作品で、特にアメリカにおけるアルマーニ人気を爆発させるきっかけとなった。リチャード・ギアが演じる主人公のジュリアンが着用した衣装のほとんどをアルマーニ氏がデザイン。これを皮切りに、映画界からのアルマーニへのオファーは絶えることがなくなり、また顧客リストにはハリウッドスターが続々と名を連ねることとなる。
ちなみに、今までに同氏がデザインした映画衣装は数百本にのぼる。これだけ継続的に多くの映画衣装を提供している背景として、同氏が元々映画好きだからという側面も否めないが、「アメリカン・ジゴロ」のヒットにより、映画への衣装提供は効果的なプロモーションになるといち早く気づき実践した優秀なマーケターとしての側面もあると考える。アカデミー賞の授賞式に出席するスターへの衣装提供やサッカー選手への衣装提供なども早くから行ってきた。デザイナーとしての超人的な才覚とともに、マーケターとしての非凡な慧眼には驚かされる。 編集部 三井「実は「アメリカン・ジゴロ」の主演は当初ジョン・トラボルタ氏が務めることになっており、彼のマネージャーの猛プッシュによりアルマーニの衣装提供が決まったそうです。結局、ジョン・トラボルタ氏は「アメリカン・ジゴロ」の主演を蹴り、「アーバン・カウボーイ」に出演したのですが、アルマーニによる衣装提供は覆らなかったという経緯があります。のちにジョン・トラボルタ氏は「あれは間違った選択だった」と語るほど、「アメリカン・ジゴロ」はヒットしました。トラボルタ氏が「アメリカン・ジゴロ」を観ながら「アルマーニのジャケットすごいクールじゃないか…俺が着るはずだったのに…」とつぶやく姿を勝手に想像せずにはいられないようなエピソードです。」 編集部 安藤「「アメリカン・ジゴロ」の監督であるポール・シュレイダー氏は、「映画の主役は、主人公ではなく彼が着るアルマーニの服であった」と語るほど、アルマーニの衣装が与えたパワーは強大でした。近年のヒット作では「ハンニバル」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」や「ダークナイト・ライジング」等で衣装提供しています。過去の名作ももちろんですが、良い画質で同氏が手がけた衣装を見たいという方は、ぜひこういった新しめの作品からチェックしてみてはいかがでしょうか!」