阪神は本当に泥沼から脱出できたのか…解消できていない得点力不足の理由
阪神のチーム防御率4.03はリーグ最下位。他チームと比較して戦力的に充実していたはずのストロングポイントがガタついていた。特にスアレスの代役ストッパーとして計算していた新戦力のケラーが使いものにならずに崩壊した勝利方程式の整備が一番のポイントだった。橋上氏は、湯浅ー岩崎に配置転換して機能した部分を2つめの課題解消点としてピックアップした。 「経験のある岩崎を後ろにするしかない。まだ勝利方程式が確立したとは言い切れないが、役割分担を決めた以上、アルカンタラや湯浅の調子を見ながら使って自信をつけさせていくことだ。若い投手も経験を積むと緊張するところでも力が発揮できるようになってくるもの」 3つ目の課題解消点は接戦を制したことだ。 「7点差をひっくり返された開幕のヤクルト戦のトラウマがプレッシャーとなってチームにのしかかっているように見えていたが、接戦で巨人に2つ勝ったことで、多少は楽になりチームに粘りのようなものが戻ってきた。チームメンタルの回復という意味でも価値ある勝ち越しになった」 だが、一方で解消されていない点がある。 今なお得点力がアップしない打線だ。1番・中野、2番・佐藤、3番・近本、4番・大山の新打線に組み替えて4試合戦ってきたが、16日の巨人戦で大山がタイムリーを放つまで63イニング連続でタイムリー欠乏に陥るなど、とにかく打線がつながらない。 橋上氏は「一人ひとりが役割を果たしていないのが最大の要因」と指摘した。 その象徴的なシーンが17日の巨人戦の9回にあったという。 2点を追う阪神は9回、巨人の新守護神、大勢から先頭の糸井がレフト前ヒットで出塁したが、続く梅野はフルカウントからインコースのボール球のストレートをフルスイングして三振に倒れた。 「一発で同点の場面だが、2点差なのだからボールが3つ続きフルカウントになった時点で梅野が考えるべき役割は、しっかりとボールを見極めてつなぐこと。その意識があれば、ボール球を見送って四球を選ぶことができたと思う。ベンチの指示も必要だが、まず各自が役割を再確認することが重要で、そのためにも佐藤を2番で使おうが、4番で使おうが構わないが、打順をコロコロ動かすべきではない。各自が何をすべきかが曖昧になってしまう。ヒットやタイムリーはそう続くものではないのだから、いかに凡打を意味のあるものにするかを追求することが、打線を線にする“つなぎ“というものになっていく」 まだ3勝16敗1分けで13の借金がある。 今日19日からは5ゲーム差で追う5位の横浜DeNAと横浜スタジアムでの3連戦。ハマスタでの昨季チーム打率は.264で、球場別打率では相性がいい方だ。打線が目覚めるきっかけとするには最適の場所ではある。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)