「お~いお茶」ヨーロッパに本格進出!「スタバ」のコーヒー豆かすが人気スイーツに!
堀口さんは畑の中を行き来する機械を指差し、「鹿児島県は桜島が噴火して、茶畑に灰が降ることもある。これは灰を落とすことがメインの機械だが、副次的な効果として、新芽に付いたダニやアブラムシを(風と水で)吸い上げて畝間に落としてくれる」と説明する。 この機械が害虫駆除にも役立つため、あまり農薬を使わずに済むというのだ。 しかし、有機や減農薬での栽培は除草の作業が増え、農家にとって大きな負担となる。 「『有機の茶をもっと用意してください』と言うのは簡単。一生懸命作ってくれている農家さんのためにも、しっかりヨーロッパで販売していく」と、小城さん。
「伊藤園」の中嶋さんと小城さんは、4月にドイツ・デュッセルドルフに立ち上げた「伊藤園ヨーロッパ」のオフィスへ。出迎えたのは、代表の鈴木彰斗さん(40)だ。 ビルの一角を借りたオフィスで、広さは日本のワンルームマンションほど。ここがヨーロッパ進出の拠点となる。 デュッセルドルフの人口は、約66万人。古くから国際的な商業都市として栄えてきた街で、日本の企業も約400社進出。ヨーロッパでは、ロンドン、パリに次いで日本人が多く住んでいる。
翌朝、小城さんと鈴木さんは、デュッセルドルフから約3時間のところにある協力工場へ。リンゴ畑が広がる環境のいい場所で、この工場は、主にリンゴをはじめとするジュースを作っている。ここに日本から原料を送り、商品の製造を委託しているのだ。 工場にとっては初めてとなる緑茶の生産。気になるのは品質だが、小城さんは、約8カ月かけて緑茶の製造をイチから指導した。「日本と同じ味が再現されている」と小城さん。
生産体制も整い、あとは売るだけだが、デュセルドルフに戻った2人がいくつかのスーパーを視察すると、気になることが。ドイツの小売りチェーン大手「レーベ」(国内3700店以上)のドリンクコーナーをチェックすると、棚の大部分はエナジードリンクや炭酸飲料で埋め尽くされていた。 ティーコーナーもあるが、アジアのメーカーの飲料は見当たらず、「ボルビック」や「リプトン」の飲料が並ぶ。ヨーロッパの牙城を、日本の緑茶がどう切り崩していくのか。 2人は、ドイツ市場の卸売業者で流通や販売、マーケティングまで担うディストリビューター(中間業者・卸売業者)「クレヨンホップ&クルーゲ」社のダニエル・ガートナーさんと面会。ダニエルさんの「お~いお茶」の評価は悪くないが、「(値段が)少し高すぎる。ドイツ人は緑茶をもっと安いものだと思っている」とアドバイスした。 しかし「全く同意できない。『店頭価格=ブランド価値』になる。ブランド価値を我々からわざわざ下げる必要はない」と強気の小城さん。価格を維持したまま、いかに販路を広げるか…答えはなかなか見つからない。