「お~いお茶」ヨーロッパに本格進出!「スタバ」のコーヒー豆かすが人気スイーツに!
日曜日、小城さんは「お~いお茶」を抱えて街へ。実際に街ゆく人に飲んでもらい、生の声を聞こうと考えたのだ。しかし返ってきた感想は、「僕には合わない。これは無糖だね。コーヒーは砂糖入りを飲むんだ。しかも少し魚のにおいがする」「味がしないわ。いつも甘いものばかり飲んでいるから。草のにおいがする」と、散々なものだった。
手詰まり感が漂う中、小城さんと鈴木さんは、イタリア経済の中心地・ミラノへ。卸売業者「ユーロフード」社を訪ね、マーケティング本部長のルッセラ・グイドボーノさんに「お~いお茶」を飲んでもらう。ルッセラさんは「とてもおいしい。ただ少し、口に残る味が強い。もう少しまろやかな味になれば…。抹茶を入れたらどうか。より日本的になるし、ヨーロッパでも流行している」とアドバイスした。ルッセラさんの意見に、何度もうなずく小城さん。
価格や味など、いくつもの課題が浮き彫りになったヨーロッパ出張。帰国後、小城さんは、味の改良に動き出す。さらに小城さん、年間5万トンにも上る「茶殻」をブランドストーリーの武器にできないか…ヨーロッパで注目を集めるための“ある秘策”考えていた。
スターバックスと野菜と牛の意外な関係
一方、1996年の上陸以来、今や日本一のカフェチェーンになった「スターバックス」も、課題を強みに替える作戦に出ていた。課題は、毎日コーヒーを作った後に出る、大量のコーヒー豆かす。これを生かす試みが、千葉・東金市で始まっていた。 東金市にある工場「三友プラントサービス」には、スタバのコーヒー豆かすが集まっていた。 スタバの食品廃棄物の8割を占めるのがコーヒー豆かすで、全店舗で年間約8000トンも排出される。
「廃棄物として燃やされてしまうと、温室効果ガスも出るし、良くないことがたくさんある」と話すのは、「スターバックス」サステナビリティチームの武藤昌宏さん。コーヒー豆かすの有効活用に取り組んでいる。
この工場では、スタバから出たコーヒー豆かすをふるいにかけ、そこに乳酸菌や粉末状のしょうゆかす、おからなどを混ぜていた。こうして出来上がったものを届ける先は、地元の牧場だ。ひと手間かけたコーヒー豆かすを牧草や配合飼料と混ぜて牛に与えると、意外な効果が……。 酪農家の湯浅尚江さんは、「季節の変わり目は乳房炎が増えやすいが、コーヒー豆かすの飼料を使うようになってからは、だいぶ減ったと感じる。コーヒー豆かすの影響は大きい」と話す。乳房炎は牛に細菌が感染して起きるが、コーヒー豆かすに含まれるポリフェノールが乳腺の免疫を向上させるという研究(麻布大学 獣医学部 河合一洋教授)もあり、牛乳の質も良くなるという。 武藤さんによると、牛からとれた牛乳の一部は、回り回ってスターバックスミルクに。理想的な循環だ。
「道の駅 みのりの郷東金」(千葉・東金市)で売れている「とろ~りプリン」も、スタバと深い関係があった。原材料に使われている牛乳の一部は、あのコーヒー豆かすを餌としている牛からとれたもの。その牛乳は焼き菓子などにも使われ、特にプリンは1日に100個以上売れるヒット商品になった。 国内に1900店舗以上を展開するスタバは、2030年までに豆かすのリサイクルを全店舗に広げようとしているが、飼料にするだけでは難しい状況。そこで武藤さんは、店ごとに地域とのつながりをつくり、コーヒー豆かすを使ってもらう作戦を考えていた――。 ※「ガイアの夜明け」より
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