なぜ本田圭佑はリトアニアのFKスドゥバへの電撃移籍を選択したのか…その新天地のサッカーレベルは?
言葉通りにJ1の名古屋を皮切りに、オランダのVVVフェンロー、ロシアのCSKAモスクワ、イタリアのACミラン、メキシコのパチューカ、オーストラリアのメルボルン・ビクトリー、オランダのフィテッセ、ブラジルのボタフォゴ、そして今年の前半をプレーしたアゼルバイジャンのネフチでゴールを決めてきた。 今回の交渉でも「アフリカ大陸からのオファーは受けず」と、代理人を務める実兄の弘幸氏が自身のツイッタ(@HiroyukiHondaH)で明かしたアフリカを除く4大陸の8ヵ国、計9チームで紡いできた軌跡の続編を、日本のファンには馴染みの薄いリトアニアに求めたのである。 リトアニアリーグは、1部にあたるAリーガは10チームで構成され、4回戦総当たりの36試合で争われる。2部相当のIリーガは14チームで構成されてる。過去に本田を超えるキャリアを持つビッグネームはプレーしておらず、今シーズンはツエーゲン金沢やヴァンラーレ八戸でプレーした26歳のMF吉川翔梧がバンガに所属している。 55ヵ国が加盟するヨーロッパサッカー連盟(UEFA)内のランキングでリトアニアリーグは33位とアゼルバイジャンの30位よりも下に位置する。実際に2017シーズンから3連覇を達成したスドゥバを含めて、リトアニア王者がチャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグの本戦に出場したケースは一度もない。 弘幸氏は、ツイッターで「オファーは、リアルに20クラブ以上あったが」ともつぶやいている。そのなかで本田がレベルの低いリトアニアリーグのスドゥバを選んだのは、今シーズンも演じている優勝争いを、自らのゴールで加速させるだけの価値があるクラブだと判断したからだ。 年俸などの金銭面をほぼ度外視した上で本田が設定する独自の基準を、弘幸氏は同じツイートのなかでこう説明している。 「唯一こだわりがダントツで一番強い選手なので。条件問わずプロジェクトの質で却下が多い」 新天地での背番号選びでもこだわり、つまりは他の選手とは違うことを優先させた。スドゥバから提示されたのは「3番」と、あとはすべて二桁だった。迷わずに「3番」を選んだ本田は、日本代表で「4番」を背負った2012年5月も、最初は「2番」や「3番」を望みながら、当時つけていた選手から断られたエピソードがある。 パチューカ時代の「2番」に続いて、攻撃系の選手では珍しい「3番」を晴れて背負う本田は、残り10試合で加入するスドゥバでのゴール数を「(出場する)試合数分のゴールを目標にします」と語った。ただ、弘幸氏が課すノルマはもっと高い。 「ガチガチのFWでプレーして二桁は必須。動き出しポジショニングは口出して行く」 代理人として10試合で最低10ゴールという高いハードルを設定したのは、スドゥバとの契約満了後に、秋春制で実施されているリーグへ、シーズン途中での移籍を思い描いているからだろう。 実際、一連のツイートの第1弾で、弘幸氏はこんな文面を投稿している。 「ひとまずのプレー場所。今から更なる最善を尽くして最高に選手が輝くステージを追求し準備する。全神経集中」