コロナから身を「マモッテ」 “捨て猫守るアクセサリー工房”の奮闘
「首都圏などに緊急事態宣言が出た直後は、まだ気持ちも大丈夫だったんです。お客さんも少なくはなっていましたが、それでも少し影響があるかな、くらいで。ただ、(緊急事態)宣言が全国に拡がった後は、ぱたっと客足が途絶えてしまいましたね」 緊急事態宣言が全国に拡大され、各都道府県で外出自粛などの措置が出されてからは来店者ゼロの日々が続いたのだという。
同店はアクセサリーの製造・販売と並行して、保護猫の支援団体などの協力を得ながら、引き取り手が見つかりにくいとされる成猫らを中心とした譲渡を行っている。小さいうちの保護猫は里親がすぐに見つかることが多いが、生後8~10か月以上の猫たちは引き取り先を見つけるのが難しくなるという。
猫の飼育や管理は、完全にボランティアで行っているという。「お客さんが全く来なくても、猫たちの世話は毎日しなくてはいけないのでどうせ私は毎日お店に来るし、お店のスタッフも誰一人として休みたいという人がいなかったので、お店はずっと開けていました」 客足が途絶えた中での店舗営業。アクセサリー販売は、オンラインショップの売り上げなどでなんとかしのいでいたが、里親を待つ猫たちは、里親となる可能性のある来店者と触れ合う機会がないまま、時間だけが過ぎていった。 頭を悩ませていた時、経営者仲間から言葉掛けがあった。不特定多数の人が触ったものに触れる機会を減らすためのアイデア商品が出始めた頃だった。 手や指の代わりに「ボタンを押したりする商品が出回ってるみたいだけど、これ、指輪でできない?」
梅崎さんらは、客の来ない店舗兼工房内で新商品を考案し始めた。指輪の素材には、制汗剤などにも使われ、減菌や消臭などの機能があるとされるAGイオンが入ったシルバーを使用。スマートフォンの操作やATMの画面、エレベーターのボタンを押す際に使える突起と、ドアノブなどを引っ張る際に役立つくぼみを施した。「押す」機能だけでなく「引く」動作も考慮に入れたこの指輪は、「mamotte(マモッテ)」と命名した。