熱中症対策のドリンクは「スポーツドリンク」「経口補水液」どちらがいい? 医師が解説
熱中症対策の飲み物は自分で作れる? おすすめの作り方を産業医が紹介
編集部: 熱中症予防のための飲み物はたくさんあって選べないのですが、いっそのこと自分で作ることもできるのでしょうか? 佐藤先生: はい。熱中症対策の飲料水は簡単に自家製できます! 編集部: 熱中症対策の飲み物を自分で作る場合のレシピを教えてください。 佐藤先生: 前述の通り、塩分を補給するなら0.1~0.2%の食塩水がおすすめなので、最初に0.1~0.2%の食塩水を作ります。0.1~0.2%の食塩水を作る手順は、水1リットルに対して食塩を1~2g入れるだけです。 塩を計量するのが面倒な人は1gに包装されている塩などを使うと簡単に作れます。また、糖分を加える場合、糖質3%で調整するなら0.1~0.2%の食塩水1リットルに対してスティックシュガー10本分の30gの砂糖を入れるだけで簡単に作れます。 編集部: 塩砂糖水という感じで物足りなそうな感じもしますね。味とか風味とかをもう少し工夫することはできますか? 佐藤先生: 味や風味、フレーバーなどが欲しい人は麦茶やレモン水をベースに作るのも一つの手ですね。また、シュワシュワっとした喉ごし感が欲しい人は炭酸水を元に作るとさまざまなバリエーションができるので、好みに合わせてアレンジしてみてください。
糖尿病や血糖値が気になる人向けの熱中症対策にスポーツドリンクはダメ?
編集部: 塩分濃度などについてはよくわかりました。では、熱中症対策としての飲み物の糖分についても目安や注意点などもあるのでしょうか? 佐藤先生: 熱中症予防の飲料水に含まれる糖分の目安としては、腸が水分や塩分を吸収しやすいように糖質3~8%(3~8g/100ml)が良いと言われています。ちなみに、各メーカーのスポーツドリンクには約2~6%、経口補水液には約2%の糖質が含まれています。 ※日本スポーツ振興センター「競技者のための暑熱対策ガイドブック」 https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/jigyou/pdf/shonetsu_2-23pp.pdf 編集部: 糖尿病や血糖値が高い人、気になる人でも糖質3~8%くらいがいいのでしょうか? 佐藤先生: 糖尿病や血糖値が高くて気になる人には、糖質3~8%だと糖分が多すぎて血糖値が高くなり、喉が渇いたり体がだるくなったり突然の昏睡状態になってしまったりすることもあるペットボトル症候群に陥るリスクがあります。 そのため、血糖値が高めの人は熱中症予防の飲み物の糖質を控えめに1~3%、場合によっては糖質ゼロの飲み物で水分補給したほうがいい場合もあります。 糖尿病の方は、前述の自家製熱中症予防ドリンクを作る時も、糖分を控える際は、食塩水1リットルに対してスティックシュガー1~7本、砂糖3~21gに減量して糖質0.3~2.1%に調整してみてください。 編集部: 糖質が少なめの飲み物で熱中症予防するとなると、糖尿病や血糖値が高い人は水分や塩分の吸収が遅くなってしまうのではないでしょうか? 佐藤先生: その通りです。糖尿病の人は水分や塩分の補給に時間がかかる場合があるので熱中症になるリスクが高くなっています。 その他、血糖値が高い状態そのものも熱中症や脱水症のリスクの一つなので、糖尿病の人はそもそも暑い環境下で作業しない、もしくは、暑熱下で連続した作業をしないように休憩頻度をより短くするなどの健康管理をすることも大切です。